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ネット起業家の方々は、皆、本が大好きでよく買っていた。良いビジネス書があると聞くと、ネット書店でクリック一発で買ってしまうのである。だから一ヶ月の書籍代に何万円もかける人が少なくなかった。
そんな彼らも、小説やエッセイはあまり読んだことがなく、そのなかに私が現れたものだから「じゃあたまには小説でも買おうかな」とお買いあげくださった人が少なくなかった。
彼らは知人の作家は私しかいなかったからだ。
内藤みか(ないとう・みか)
1971年生まれ。作家。著書54冊。自著を売るためにネットを駆使しまくる日々。
公式HP
http://www.micamica.net
メールマガジン
『奥さまは官能小説家』
出版社:幻冬舎
ISBN:4344404890
サイズ:単行本/290p
発行:2004年02月
価格:600円 (税込:630円)
2004年2月8日に私のエッセイ『奥様は官能小説家』が発売された。それをブログで告知すると「買いました」という方が何人も出てきて、ランキングがみるみる1900位くらいに上がっていったのでびっくりした。お金をかけて宣伝したわけでもないのに、ネットで本が売れてしまったのだから。
これはひょっとして本気で宣伝したらもっと上を狙えるかもしれない。メルマガもブログも軌道に乗ったので、私はひそかに4月出版の恋愛小説をアマゾン上位にする作戦を練り始めた。
今まではメールのやりとりが交流の中心だったけれど、ここで私は一気にセミナーに出ていくこととなる。一度リアルにお会いしたほうが親しくなれるはずだと思ったからだ。それにネットだけの交流の限界を感じてもいた。どんな人かは実際にお会いしないとわからないものだから。それに、ナマの私を知っていただきたくなったのである。
4月に間に合わせるためにと、2月は毎週のようにセミナーに出た。テッド小笠原さんのブログセミナー、藤沢あゆみさんの恋愛セミナー、高松の書店長わらし仙人さんとのお茶会にも行った。わらし仙人さんなど、彼の書店に「内藤みかコーナー」を作ってくれるほどに可愛がってくださった。
イベント続きでもちろん睡眠不足だった。それでもまめにセミナーに顔を出したのは、「行商」ができたからかもしれない。
私の本を持っていくと、何人もの方が名刺片手に近づいてきて「1冊ください。サインしてください」などと言ってくださった。
サインをねだられるなんて、この弱小作家には珍しすぎる出来事で、もううれしくて、愛をこめてサインをし、にっこり笑ってお金を受け取った。自分の本を自分の手で売ることができたという快感に、私は痺れていた。
1冊でも多く売れるならと、イベントのたびにリュックに自著を詰めて、向かった。