第6回 タダだからこそ続けたブログへの書き込み ―― 内藤みかの作家起業論

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 「プロなんだから、タダ原稿を書くな」と、実は何人もの人に忠告されてのブログ活動のスタートだった。けれど私は、人一倍熱心にブログに書き込みし、訪れた方のブログを訪れてコメントを書いたりもした。あえてワザとタダで言葉を綴り続けた。

 タダということは誰でも読める。より多くの人の目に止まる可能性が高い。無名作家状態だった私の名を知ってもらえるチャンスだと考えての書き込み活動だった。

内藤みか(ないとう・みか)

 1971年生まれ。作家。著書54冊。自著を売るためにネットを駆使しまくる日々。

公式HP
http://www.micamica.net
メールマガジン

あなたを、ほんとに、好きだった。
出版社:メディアファクトリー
ISBN:4840110697
サイズ:単行本/220p
発行:2004年04月
価格:1000円(税込:1050円)

 2004年のお正月を、私は山梨県甲府市のビジネスホテルでひとりで迎えた。実家に子ども2人を預けて必死で『あなたを、ほんとに、好きだった。』を書いていた。正月返上で働かないと間に合わなかったのだ。たったひとりのおせちもない部屋で流れてくる小沢健二さんの「今夜はブギー・バック」と楽天日記だけが私のなぐさめだった。

 私がブログを始めたのは双方向コミュニケーションができるからだった。

 今まで書いていたさるさる日記は感想の書き込みもできず、読者の方から掲示板を作ってほしいとよく頼まれていたが管理が大変そうで実現していなかった。

 楽天日記を選んだのは、知り合いのエッセイスト安藤房子さんに勧められたのもあるけれど、楽天日記ユーザーしか書き込みできないよう設定できるので、管理がかなりラクだったからだ。

 ただの作家ではなく、何かテーマがあったほうが面白いと考え、激安商品をテーマにしたブログにすることにした。題して「お安いのがお好き☆」。

 このブログでは、さるさるの150を大いに上回る500以上のアクセスをマーク、さらに日記リンク機能といって私の日記をお気に入りに入れてくれる方が2ヶ月で50人以上も出た(2005年5月現在は310人)。

「あなたの作品を読んだことがないけど、日記が面白いから、今度本屋で探してみます」という書き込みが何回もいただけた。自力で新しい読者と出会うことができたのは、何にも代え難い喜びだった。だから、最初のうちは、なるべく大勢の人の楽天日記を訪れ、まめに書き込みをするようにしていた。

 周囲には「作家なのだからコトバを安売りするな」と忠告してくれる方もいたのだけれど、売れていないB級作家だからこそ、コトバで近づいていかなくてはと私は考えた。実際、こういうことを何度も言われた。

「作家さんが書き込みしてくれてうれしい」

 私も嬉しかった。だからどんなに眠くても毎日楽天日記を書き続けることができたのだ。

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