国際ブッカー賞の最終ノミネート作品発表、アジア勢はゼロ

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 4月9日に2019年のマン・ブッカー国際文学賞の最終ノミネート作品6タイトルが発表された。5月21日に最優秀作品が発表されるが、今年はアジア勢の著書は入らなかった。

 昨年度『逃亡派』(EXLIBRIS)で同賞を受賞したオルガ・トカルチュクが、もう1人の翻訳者とともにノミネートされている他、初のアラビア語作品『Celestial Bodies』や、これがデビュー作となるチリのアリア・トラブッコ・ゼランの『The Remainder』が入っている。

 アジア勢の作家はノミネートされなかったが、ドイツのマリオン・ポッシュマンの『The Pine Islands』(松島のこと)は、ある日思い立って芭蕉の本を片手に「奥の細道」をなぞって日本で旅をする男の話だ。(作中、「たまごっち」(Tamagotchi)という名のヒゲの若い男の自殺を思いとどまらせるあたりで、日本のインバウンド政策がうまくいっているのか不安になるが。)

参考リンク

マン・ブッカー賞のサイト

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著者について

About 大原ケイ 289 Articles
NPO法人HON.jpファウンダー。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。
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