ケータイ読書のススメ 第二回

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配信型読書をやってみよう

 今回はケータイ読書のもっとも特徴的な「配信型サービス」を「新潮ケータイ文庫」を例に紹介しよう。

 「新潮ケータイ文庫」は2002年にスタートしたケータイ読書の草分け的存在だ。文芸出版社としての特色を活かして新進の作家による書き下ろし作品の配信などが売り物だが、古典も必ず配信されているし、月替わりのショートショートなど気軽に読み切りできるメニューも豊富。多くの人が楽しめるよう工夫されている。

配信型サービスってどんなもの?

 一冊の作品をまるごとダウンロードして読むダウンロード型を図書館や書店にたとえるなら、配信型サービスは新聞小説や文芸雑誌のようなものだ。毎日、連載の形で小説が届けられる。長編もあれば短編もある。読み切り型のショートショートなども入れ代わりで提供される。
 新聞小説や文芸雑誌と大きく異なるのは連載の途中で読み始めてもバックナンバーが完備している点だろう。だからいつでも気軽に読書を開始できる。新聞小説の気楽さと、いつでも読書を開始できる自由さを併せ持ったサービスだ。

サービス内容

 新潮ケータイ文庫の会員になると月会費だけで提供中のコンテンツがすべて楽しめる。

 たとえば現在配信中(9月中旬)のものは別表のとおりだ。これだけの内容が月会費だけで読み放題というのはすごい。

 連載作品は基本的に月曜から金曜まで毎日更新される。1回の分量は1000〜2000字。ちょうど新聞小説1回分と同じ量になっている。

 というと更新のチェックがたいへんと感じるかも知れない。たしかに毎日読書なんてたいへんそうだ。でも気楽に始めてみて欲しい。しおり機能やメール配信、読書アプリ「たてがきくん」など読書を支援するツールが揃っているから、気軽に連載小説を楽しめる。

 もし何日も読み損なっても自分のしおりから再開することができるから、プレッシャーはゼロ。毎日の読書がたいへんどころか、続きを読みたくて毎朝が待ちどうしくなっているはずだ。

 新潮ケータイ文庫の最大の魅力は連載小説に書き下ろしの作品が必ず何点か含まれることだろう。これらはまだ単行本になっていない正真正銘の新作だ。連載終了後、単行本化されるかどうかも決まっていない、作家の作業と同時進行で作品を楽しめるのだ。もしかしたらあなたの読んだ連載が明日のベストセラーになるかも知れないのだ。

 ケータイ読書という新しい媒体を活かす試みもある。そんな中のひとつがサドンデス小説や作者へのメール募集(→「作家に感想を送ろう」)。こんな新機軸が現れるのもケータイ読書ならではの楽しみだ。

 そのほかに、岩合光昭氏の動物写真、かわいしのぶ「今月の回文」Yonda?君の3種類の待受画面が毎月提供されている。今月の回文(「たけやぶやけた」のように上から読んでも下から読んでも同じ文)は笑えること請け合い。要チェックだ。

「新潮ケータイ文庫」の歩きかた

 新潮ケータイ文庫では「サイトで読む」「たてがきくんで読む」「メールで送ってもらう」と3つの読み方が提供されている。自分にあったお好みの方法をチョイスしよう。

・サイトで読む

 トップページから好きな小説を選びそのままサイト上で読み進める。各小説にはしおりを挟む機能があるので読み終わるときは必ずしおりを挟んでおこう。次に読み始める時は「しおりから読む」をクリックすれば前回の読書位置を自動的に開いてくれる。

 読みかけの小説のトップメニュー画面をブックマークしておけば簡単に続きを開くことができるのでお勧めだ。

 ここから読み始める位置を選べる。またメール配信の設定などが行なえる。

 本文は通常どおりスクロールして読む。「しおりを挟む」をクリックすると読書位置が記憶され、次回アクセスした時に同じページに即座に戻ることができる。

・「たてがきくん」で読む

 小説を縦書きで快適に読むためのアプリが「たてがきくん」だ。「たてがきくん」には一度に4冊までの小説が登録でき、連載小説を順番にダウンロードしながら読んでいくことができる。

 もちろん「たてがきくん」は縦書きで読めるが、好みによっては横書きにすることも可能だし文字の大きさも変えられる。カーソルキーを1回押すだけでページ単位の表示切り替えができるのも快適だ。読み続けている本ならサイトにアクセスするより遥かに快適に読書が楽しめる。

 ただ「たてがきくん」で読めるのは基本的に連載小説だけ。ショートショートや「名作読み放題」などは直接サイトで楽しもう。

 小説は一度に4冊まで登録可能だ。またサイトへのショートカットもある。

 トップ画面から「[空]ダウンロード可能」と書かれたメニューを選択すると、現在「たてがきくん」で講読可能な作品の一覧が現れる。

 縦書き、横書き、背景色などが選べる。一度読んだものは「続きを読む」というメニュー項目が増えるので読書を中断しても安心だ。

 1回分読み終わると続きのダウンロードが行える画面が出る。バックナンバーなどは連続して読み続けられる。連載の最新回の時は「まだ配信準備ができていない」旨の表示が示される。

・メールで送ってもらう

 新潮ケータイ文庫独自のサービスで読者に好評なのがメール配信サービスだ。

 各連載の「メール配信設定」から「設定」を選択すると毎朝メールで連載が届けられる。

 自分宛に毎朝小説が届くという感覚はとてもよい。新潮社の話では読者の半数がこのメール配信を利用しているという。ぜひお試しを。

 このサービスを利用するには各キャリアのメール設定でメールの受信可能文字数を2000字程度に設定しておく必要がある。

バックナンバーを読む、連載終了後に読む

 入会時もそうだが、新連載が始まったのを気づかずに連載途中から作品を読みはじめることも多い。そんな時はバックナンバーの機能を使おう。作品のトップ画面から「最初から読む」を選択すれば連載の1回から読み始めることが可能だ。また「バックナンバー」を選択して任意の回を呼び出す機能もある。

 連載が終了すると作品はサイト上から姿を消してもう読めなくなる。しかし連載終了後2週間だけは「今だけ読み放題」のコーナーから読むことができる。「しまった!結末を読み損ねた」なんて時に便利なコーナーだ。

作家に感想を送ろう

 作品のトップメニューに「メール募集」のメニューがあれば、連載中の作家にメールを送ることが可能だ。感想でもよいしファンレターでもよい。作家にとっては執筆中に読者から直接反応が来ることはとても新鮮なことだという。よりよい作品作りに役立つこと請け合いだ。新潮社によると作家から返事が来ることもあるとか。

会費

 会費は月に210円(税込・パケット代は別)。この値段でこれだけのサービスを受けられる。新潮ケータイ文庫はお世辞なしでお得なサイトだろう。さあ「新潮ケータイ文庫」にトライしよう。

※EZweb、Vodafone live!は105円/月(税込)

★サドンデス小説

 新潮ケータイ文庫ではじめて作られた連載形式で、「2週連続でアクセス数が下回るとその時点で連載打ち切り」というキビシーイ連載ルール。といってもこれにチャレンジした勇気ある作家はまだひとり。昨年の暮れから今年の春まで連載された、内藤みか「いじわるペニス」がそうだ。

 サドンデスとうい形式が人気を呼んだのか、この形式に挑んだ内藤みかの力量の大きさか、「いじわるペニス」は4ヶ月におよぶ連載をトップの人気で見事にクリア。この10月には単行本化が決まった。

 ケータイ読書にはこんな新しい冒険もある。サドンデス小説の後続がまだ出て来ないのは残念だが、編集部もいろいろ新趣向を練っているという。これからも期待しよう。

□「新潮ケータイ文庫」にトライ

(1)サイトに行く

 3キャリアとも公式サイトに入っているのでサイトまでは簡単に辿り着ける。

iモード(DoCoMo)

 メニューリスト→TV/ラジオ/雑誌→小説→新潮ケータイ文庫

Vordafone live!(Vordafone)

 メニューリスト→TV・ラジオ・雑誌→出版・雑誌→電子書籍→新潮ケータイ文庫

EZweb(AU)

 トップメニュー→ホビー&カルチャー→TV・メディア→マガジン→新潮ケータイ文庫

 なお、インターネットの案内サイトには自分の携帯にアドレスを送るボタンがあるのでメール経由でアクセスすること可能だ。送られてきたメールアドレスを選択してジャンプするだけだ。

(2)サービスの内容を確認しよう

 会員になる前は配信されている小説を読むことはできないが、どんなものが配信されているかはすべて確認することができる。また「試し読み」ボタンがついているものなら最初の1回分を立ち読みすることが可能だ。
 今後どんな小説が配信されるかは、ページのトップから「配信スケジュール」のページに飛べば分かるので参考にするとよい。
 サービスの概要や機能はトップページから「使い方&たてがきくん」で読むことができる。

(3)入会

 入会申込みは「入会」ボタンから入り、規約を読んで同意…と案内順に手続きをすればよい。

(4)「たてがきくん」のダウンロード

 トップページから「使い方&たてがきくん」→「たてがきくん」で新潮ケータイ文庫専用の読書アプリ「たてがきくん」がダウンロードできる。新潮ケータイ文庫はサイトで読んだりメールで読んだりできるが「たてがきくん」なら縦書きで読むことができる。続きのダウンロードやページめくりも簡単にできるし文字の大きさの変更も可能だ。こだわり派には必須のツールだ。

別表1:新潮ケータイ文庫・提供中のコンテンツ(2004年9月24日現在)

1、今月の短編

柴田よしき「ブラディマリーズ・ナイト」
 朱川湊人「夏の落し文」
 梶尾真治「スカーレット・スターの耀奈」
 石持浅海「人柱はミイラと出会う」
 大崎善生「キャトルセプタンブル」
 浅野裕子「螺旋のぬくもり」
 池永陽「ささやかな接触(ふれあい)」
 重松清「追伸」
 藤木稟「サカイヨ」

2、書下ろし小説

 豊島ミホ「彼の小指は海のそこ」
 戸梶圭太「Jack,Ready,Play!」
 服部真澄「海国記 平家の時代」
 北川歩実「悪夢療法」

3、キング・オブ・ミステリー
 アガサ・クリスティ 「オリエント急行の殺人」
 松本清張 「カルネアデスの舟板」「赤いくじ」
 コナン・ドイル 「ギリシャ語通訳」「海軍条約文書事件」「恐怖の谷」

4、ショートショート

 星新一「日がわり星新一」

5、コラム・エッセイ

 福田恆存「今日のシェイクスピア」

6、Monthly連載

 山田詠美 万延元年の熱血ポンちゃん
 月替り気まぐれエッセイ

7、名作読み放題

 芥川龍之介「羅生門」「鼻」「蜘蛛の糸」
 川端康成「雪国」
 太宰治「人間失格」
 夏目漱石「こころ」「坊っちゃん」
 宮沢賢治「銀河鉄道の夜」
 カフカ/高橋義孝訳「変身」
 モンゴメリ/村岡花子訳「赤毛のアン」

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