デジタル図書館貸出カードはアメリカの非識字率低下に貢献できるか

noteで書く

《この記事は約 2 分で読めます(1分で600字計算)》

 アメリカでは1億6000万人が図書館貸出カードを持っておらず、1600万人が字を読めず、その根幹にあるのは収入格差問題だと指摘されている。ひとつの対策として、オーバードライブ社が手がける Instant Digital Card プログラムでは、この15ヶ月間で6万5000人のユーザーを獲得したと、経済誌フォーブスが伝えている。

 このサービスを使えば、図書館貸出カードを持たない者でも、どこからでも何千タイトルものEブックやオーディオブックの中から本を選んで借りることができ、本の貸し借りに出向く必要もない。

 オーバードライブ社の創設者CEOであるスティーブ・ポタッシュは「瞬時になんでも手に入るスマホ社会にピッタリですよ」という。このプログラムは忙しい母親から、急にスケジュールが変わるビジネスマン、そして近くに図書館がない人がターゲット層だ。

 課題は電子図書館カードの存在を知ってもらうことで、娯楽だけでもビデオのストリーミングからEブックの定額読み放題サービスが台頭する中、次の素晴らしい本に出会える図書館というリソースを知ってもらうためにも、図書館や地元のコミュニティーと協力してオーバードライブ社のアプリである Libby を推進している。

 ここで人気があるのはオーディオブックや、読み聞かせ機能付きの児童書、SFやファンタジーなどの speculative fiction そして紙でもベストセラーとなっている政治ノンフィクション、TV番組と提携した本などだという。

参考リンク

フォーブスの記事
https://www.forbes.com/sites/adamrowe1/2018/11/26/digital-library-cards-are-offering-thousands-of-ebooks-to-everyone/#2904736168f6
OverDrive社の電子図書館貸出カードのウェブサイト
https://company.overdrive.com/get-a-library-card/
アメリカの非識字率をとりあげたBBCのビデオニュース

noteで書く

広告

著者について

About 大原ケイ 289 Articles
NPO法人HON.jpファウンダー。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。
タグ: / /