【更新】ノーベル文学賞の外部審査員が2人辞任

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 昨年度は、関係者のセクハラ問題でスウェーデン・アカデミーのノーベル文学賞審査会員の半数が辞め、選考できずに今年に持ち越されたが、またさらに2人の外部審査員が改革の進行状況を不服として辞任したとロイター通信が伝えた。

 223年の歴史があるスウェーデン・アカデミーだが、セクハラ問題発覚後の改革措置は、18人いるアカデミーの審査員以外に、選考の補助に当たる外部のメンバーを加えることだった。その1人となった作家で書評家のクリストファー・レアンドールは、「改革を見守るのに1年も付き合う忍耐は私にない。その点でアカデミーと見解が異なった」と地元紙スヴェンスカ・ダーグブラーデット紙にコメントしており、2019年の受賞が国際舞台で非難されたペーター・ハントケとは関係ないとしている。

 辞任したもう1人はジャーナリストのガン=ブリット・サンドストロムで、「文学は政治と関係ない」としたアカデミーの見解に賛成できなかったからと、異なる地元紙ダーゲンス・ニュヘテルに語った。昨年のスキャンダル後、スウェーデン・アカデミーのノーベル文学賞選考員は4人で、外部審査員は5人招かれていた。

 同アカデミーのアンダース・オルソン会長は、2週間前にハントケの受賞に異議を唱えたコソボとボスニア・ヘルツェゴビナの関係者に当てた手紙で、「ハントケの理解に違いがあるようだが、ノーベル賞はその人の功績を讃えるものであって、人柄を判断するものではない」と書いた。

[2019年12月3日 16時12分アップデート:タイトルを「外部審査員」に修正、クリストファー・レアンドールがコメントをした地元紙の情報追加、ガン=ブリット・サンドストロムのコメントを追加、選考員の人数追加]

参考リンク

ガーディアン紙の記事 
https://www.theguardian.com/books/2019/dec/02/nobel-prize-for-literature-hit-by-fresh-round-of-resignations
BBCの記事

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著者について

About 大原ケイ 289 Articles
NPO法人HON.jpファウンダー。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。
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