日本漫画家協会と出版広報センターが「侵害コンテンツのダウンロード違法化」と「リーチサイト規制」に関する共同声明を発表

日本漫画家協会公式サイトより
日本漫画家協会公式サイトより

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 公益社団法人日本漫画家協会と出版広報センターは9月25日、「侵害コンテンツのダウンロード違法化」と「リーチサイト規制」に関する共同声明を発表した。海賊版対策にこれまで以上に一丸となって取り組み、法整備が適切かつ迅速になされることを願っているとしている。

 ダウンロード違法化とリーチサイト規制は、昨年6月から文化審議会著作権分科会の法制・基本問題小委員会(文化庁が公開している資料)で審議が行われ、年末に発表された「中間まとめ(案)」に対し年末年始にパブリックコメントが募集されるなど、著作権法改正に向けさまざまな検討が行われていた。

 このうち、リーチサイト規制については大きな反対は見られなかったが、ダウンロード違法化については対象範囲の拡大範囲が表現や研究などの萎縮や人権の制約につながりかねないと、多方面から反対の声が挙がっていた。

 出版広報センターは2月21日に「ネットユーザーやクリエイターの表現行為を萎縮させるようなことがあってはなりません」という見解を発表、また、日本漫画家協会は2月27日に「『ダウンロード違法化の対象範囲見直し』に関する声明」を発表している。

 この著作権法改正によって権利が守られる側の立場であるはずの出版社や漫画家からも反対の声が挙がったことから、国会への提出が見送られたという経緯がある。

 今回発表された共同声明では当時の経緯を振り返りつつ、「侵害コンテンツのダウンロード違法化およびリーチサイト規制のための法整備を不要とする趣旨の表明ではありません」「私たちは改めて、侵害コンテンツのダウンロード違法化およびリーチサイト規制のための法整備が適切かつ迅速になされることを願うものです」としている。

 また、日本漫画家協会による2月27日の声明では以下の3要件が提案されていたが、今回の声名では「(この)要件設定に限らず、他のより良いアイデアも柔軟に採り入れられながら法整備が実現することを願ってやみません」としている

  1. くり返し複製する「反復」行為を対象とすること(刑事罰のみ)
  2. 原作マンガ等を原作のまま、まるごと複製する行為を対象とすること
  3. 権利者の利益が不当に害される場合に限定すること

 漫画家で日本漫画家協会常務理事の赤松健氏はこの共同声明について、Twitterで以下のように説明している。

参考リンク

日本漫画家協会のリリース
https://www.nihonmangakakyokai.or.jp/?tbl=information&id=8145
出版広報センターのリリース(PDF)
https://shuppankoho.jp/doc/20190925.pdf
実効性のない法律に意味はあるのか?「違法ダウンロード範囲拡大を考える院内集会」レポートと考察(2月9日記事)
https://hon.jp/news/1.0/0/15393
「スクショ違法化」ってどういうこと? マンガ家などクリエイターが反対しているのはなぜ? 法学者や弁護士などの緊急声明「海賊版対策に必要な範囲に限定すべき」なのはなぜ?(2月21日記事)

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著者について

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HON.jp News Blog 編集長 / NPO法人HON.jp 理事長 / 日本電子出版協会 理事 / 日本出版学会理事 / 明星大学 デジタル編集論 非常勤講師 / 二松学舍大学 エディティング・リテラシー演習 非常勤講師 / デジタルアーカイブ学会 会員 / 著書『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』(2015年・インプレス)など
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