新スポンサーでの英ブッカー賞ノミネート作品が発表

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 新しいスポンサーのもとで初となるイギリス・ブッカー賞のノミネート作品13作が発表された。下馬評通り、ベテランライターのサルマン・ラシュディ(『真夜中の子供たち』で1981年に受賞)とマーガレット・アトウッド(2000年に『昏き目の暗殺者』で受賞)の一騎打ちとなるか。

 アトウッドのノミネート作品『The Testaments』は、1985年発表、1990年の映画化や、2017年にHuluによってドラマシリーズ化され、リバイバル人気を呼んだ『侍女の物語』の15年後を描いた続編だが、10月の刊行まで、審査員以外にはあらすじなどが一切事前に知らされない公開禁止令のかかった作品だけに、その出来がどうなのかが気になるところ。一方、ラシュディの『Quichotte』は全米を渡り歩くセールスマンをドン・キホーテに見立てた意欲作。

 2015年からアメリカ人作家も資格ありとなり、ポール・ビーティー(『The Sellout』で2016年受賞)や、ジョージ・サーンダーズ(2017年『リンカーンとさまよえる霊魂たち』)が受賞したが、今年はスポンサーがアメリカのセコイア・キャピタルのマイケル・モリッツ/ハリエット・ヘイマン夫妻に代わった一方で、ノミネートからアメリカ勢がシャットアウトされたかたちとなった。(『Ducks, Newburyport』のルーシー・エルマンは生まれこそイリノイ州だが、13歳の時にイギリスへ移住している。)

 これからノミネート作品は6作品に絞られ、10月14日に最終発表となる。

参考リンク

ブッカー賞公式サイト
https://thebookerprizes.com/
ニューヨーク・タイムズ紙の記事
https://www.nytimes.com/2019/07/23/books/booker-longlist-margaret-atwood.html
ガーディアン紙の記事

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著者について

About 大原ケイ 289 Articles
NPO法人HON.jpファウンダー。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。
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