欧州議会が18年ぶりに大幅な著作権法改定採決

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 3月26日にブリュッセルで行われたヨーロッパ会議において、賛成票348、反対票274票で可決された著作権法第17条項(元第13条項)では全てのプラットフォームがホストとなるコンテンツに対し、法的に責任を持たなければならなくなった。

 この結果、特にアメリカのIT企業はサイトに掲載されるコンテンツに対し、さらなる責任を負う形となり、同時に著作権侵害対策の見直しも余儀なくされると英業界誌 The Bookseller が伝えている。2016年からいわゆるGAFA企業(グーグル、アップル、フェースブック、アマゾンの頭文字からなる大手IT企業を指す新語)が中心となってヨーロッパでロビイングを展開し、議会での議論が長引いていた。

 欧州出版社連合(Federation of European Publishers)のルディー・ヴァンスクーンビーク会長は「ヨーロッパのクリエイターをサポートし、将来的にインターネット上の情報にダイバーシティーをもたらすだろう今回の採決を評価する」とコメントしている。

 ヨーロッパ各国はこの決定を受けて、それぞれ国内でこれを遵守するための法改定に取り掛かる。ブレグジットで先の見えないイギリスでも、作家協会のニコーラ・ソロモンスCEOはイギリスでも約2年の猶予で同法を実施するよう呼びかけている。

参考リンク

The Booksellerの記事
https://www.thebookseller.com/news/eu-copyright-law-reform-975521
ヨーロッパ議会の発表記事

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著者について

About 大原ケイ 289 Articles
NPO法人HON.jpファウンダー。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。
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