オープンアクセスに応じないエルゼビアをカリフォルニア大学がボイコット

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 学術論文へのオープンアクセスが求められる風潮の中、公共資金による研究成果へのオープンアクセスを目指す米カリフォルニア大学は、論文などの学術資料へのアクセスに高額な料金を課す大手出版社エルゼビアの購読を中止したと発表した。8ヶ月にもわたる契約更新交渉を重ねてきたが合意に至らず、今回の決裂となった。

 カリフォルニア大学側が主張していた、購読料金の値下げと同大学の教授による論文を無料でアクセスできるようにという要求は受け入れられなかった。10の分校を持つカリフォルニア大学は全米の論文の10%を上梓しているとされ、国内最大手。購読料や論文掲載の手続きの料金として、同大学は年間1100万ドルをエルゼビアに支払っていたとロサンゼルス・タイムズ紙が伝えている。

 ヨーロッパでも昨年既に、ドイツやスウェーデンの大学団体が、もっと安い購読料を要求してエルゼビアと対立している。

参考リンク

カリフォルニア大学の声明文
https://senate.universityofcalifornia.edu/_files/reports/academic-council-statement-elsevier-feb28.pdf
サイエンス誌の記事
https://www.sciencemag.org/news/2019/02/university-california-boycotts-publishing-giant-elsevier-over-journal-costs-and-open
ネイチャー誌の記事

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著者について

About 大原ケイ 289 Articles
NPO法人HON.jpファウンダー。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。
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