全米図書賞フィクション部門はシグリッド・ニュネズの『The Friend』、翻訳賞は多和田葉子に

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 11月14日夜(現地時間)、米National Book Award(全米図書賞)が発表され、今年から再設された翻訳作品部門賞に多和田葉子の『遣灯使』が選ばれた。

 フィクション部門では、幼馴染みが自殺した後その飼い犬をひきとり悲しみを分かち合う女性を描いたシグリッド・ヌニェズの『The Friend』(日本語未訳)、ノンフィクション部門ではハーレムのルネッサンスを牽引したアラン・ロックのバイオグラフィーを上梓したジェフリー・スチュワートが受賞した。

 詩歌部門は、小出版社コーヒー・ハウス出版が出したジャスティン・フィリップ・リードの『Indecency』に、ヤング・アダルト部門ではエリザベス・アセヴィードの『The Poet X』が受賞した。

 数年間、授与されていなかったが今年から再開された翻訳書の部門では、ニュー・ダイレクションズから刊行されている多和田葉子の『遣灯使』が選ばれた。日本で朗読会の予定があった多和田は授与式に欠席し、作家のモニーク・トゥルオンが「翻訳は本に国境を越える翼を与える」というメッセージを読み上げた。

 2018年の生涯功績賞は、『精霊たちの家』『愛の奴隷』『ゾロ』『Inés del alma mía』『我が魂のイネス』などで知られるチリのイザベル・アジェンデに贈られた。

参考リンク

パブリッシャーズ・ウィークリーの記事
https://www.publishersweekly.com/pw/by-topic/industry-news/awards-and-prizes/article/78588-2018-national-book-award-winners.html
USAトゥデイの記事

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著者について

About 大原ケイ 289 Articles
NPO法人HON.jpファウンダー。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。
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