米アマゾンが国内の従業員全員の最低時給を15ドルに

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 シアトルの本社でも女性社員が妊娠すると居づらくなったり、夏は倉庫での労働がきついなど、労働環境問題の内部告発がなんどもあったアマゾンだが、来月11月から正社員・契約社員を問わず、時給の最低額を15ドルにすると発表した。

 この時給は昨年8月に買収したスーパーマーケット「ホールフーズ」の従業員を含むアマゾンの従業員約25万人と、年末のクリスマス商戦に向けてこれから雇われる約10万人の臨時パートタイム従業員にも等しく支払われる。その一方で全米の最低賃金額を上げるよう、連邦政府に働きかけていく。

 3年前にInside Amazonと銘打ったスクープ記事で、アマゾン本社で働くものに課せられる過酷なプレッシャーを報じたニューヨーク・タイムズ紙の見立てでは、アメリカでは完全失業率が4%を切るなど景気回復のため、従業員を確保するハードルが高まっているのに加え、ホールフーズでは労働組合を組織しようという動きもあり、最近アップル社に続いて時価総額が1兆ドルを突破したと伝えられたアマゾンが、政治的なプレッシャーに対応した措置だと分析している。

 プレスリリースでジェフ・ベゾスCEOは「批判の声に耳を傾け、どうするべきか鑑みた結果、先陣を切ることにした。我々はこの決断にワクワクしており、競合社や他の大手にも参加してもらいたい」とコメントしている。

関連リンク

米アマゾンのプレスリリース
https://press.aboutamazon.com/news-releases/news-release-details/amazon-raises-minimum-wage-15-all-us-employees-including-full
ニューヨーク・タイムズの記事
https://www.nytimes.com/2018/10/02/business/amazon-minimum-wage.html
ニューヨーク・タイムズの記事「Inside Amazon」

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著者について

About 大原ケイ 289 Articles
NPO法人HON.jpファウンダー。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。
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