不当解雇を主張する元バーンズ&ノーブルCEOの起訴状から意外な事実が判明

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 この7月3日に突如解雇されたデモス・パーネロス元バーンズ&ノーブルCEOが、これを退職手当のない不当解雇だとして、ニューヨークの地方裁判所で起訴を申し立てた。起訴状に書かれたレン・リッジオ会長とのあつれきや、バーンズ&ノーブル買収に興味を示していた“書店”があったことなどが暴露され、米出版業界での話題となっている。

 28日付の起訴状では、パーネロスは複数の企業規定に違反したとして解雇されたが、とある買収オファーがこの6月に暗礁に乗り上げたことから次第にパーネロスとリッジオの関係が悪化していったことが伺える。解雇について具体的な理由が示されなかったため、アメリカ全土で企業幹部が辞職に追いやられるケースの多い#MeTooムーブメントとの関連も噂され、セクハラがあったのではないかとの疑いまでかけられた、と不当性を訴えている。

 起訴状には、バーンズ&ノーブルを買収しようとしたのは、匿名の“book retailer”(通常、書店を指すのでアマゾンではないとされる)と表記されているが、業界ではこれが全米2位の書籍チェーン店ブックス・ア・ミリオンや、カナダのインディーゴだとする憶測が飛び交っている。

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https://www.publishersweekly.com/pw/by-topic/industry-news/bookselling/article/77866-parneros-sues-b-n-for-defamation-of-character.html
ニューヨーク・タイムズの記事

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著者について

About 大原ケイ 289 Articles
NPO法人HON.jpファウンダー。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。
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