ヨーロッパで海賊版の利用が減少傾向、有効な対抗措置の特定には至らず

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 2014年から2017年にかけて、ときどき違法なコンテンツをダウンロードしたり、ストリーミングで視聴したりするインターネット利用者の割合は減ったことが、オランダのアムステルダム大学の情報法研究所(Institution for Information Law、以下IViR)と英調査会社Ecorysの合同調査Global Online Piracy Studyでわかった。

 この調査は欧州国に加え、日本やブラジル、カナダを含む13カ国3万5000人の消費者を対象に、音楽、映画、本、ゲームなどのネット利用についてアンケートをとり、そのコンテンツのソースに違法なサイトや、ストリームリッピング(スポティファイやユーチューブなどの有料ストリーミングサービスからダウンロードし、自分のデバイスに永久保存すること)がどのぐらい含まれているかを調べ、さらに各国の法律の専門家に著作権侵害に該当するかを判断させたもの。

 結論の中で、著作権保持者がユーザーやISP(インターネット・サービス・プロバイダー)に対してとれる法的な措置は少なくなく、多くの国で違法にコンテンツを提供するウェブサイトを民事的、あるいは行政上の手段でブロックできるようになってきている。同様に、対抗措置としては違法者にプラットフォームを提供したり、違法サイトへのリンクを貼る業者に対し、通知・削除申請が中心で、法的手段に訴えるのはさほど頻繁ではないことなどが挙げられた。

 だが一方で、こういった民事的措置の効果がどのぐらいであるかは明確ではなく、著作権を侵害する海賊行為を抑えるために、著作権を拡大化すべきなのか、違法者への制裁を強化すべきなのか、さらにそうすることによって著作権保持者への金銭的報酬につなげることができるのかは疑問視されている。その代わりに、著作権で守られているコンテンツに安価で便利が合法的アクセスを提供する方法を模索するのが道理にかなっているかもしれない、と調査側がコメントしている。

 調査に参加した国のうち、各国比較のデータでは、海賊版が顕著なのがインドネシア、タイ、ブラジル、スペイン、ポルトガルの順で、海賊版を利用する人数で見るとスペイン、カナダ、香港が多い。また、2014年から2017年の間では、ドイツを除くヨーロッパの国では海賊版の数は減る傾向にある。

Global Online Piracy Study より61ページの「海賊版eBookの利用率」グラフ
[編注:Global Online Piracy Study より61ページの「海賊版eBookの利用率」グラフ(報告書はCC BY NDで公開されている)]

関連リンク

著作権、特許、商標関連のニュースサイト、The IPKatの記事
http://ipkitten.blogspot.com/2018/08/piracy-down-legal-sales-up-says-new.html
Global Online Piracy Study報告書へのリンク(PDF)
https://www.ivir.nl/projects/global-online-piracy-study/

渡辺由佳里×藤井太洋

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About 大原ケイ 84 Articles
NPO法人日本独立作家同盟 理事。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。