『大草原の小さな家』著者の人種差別的描写を理由に児童文学賞からインガルス・ワイルダーの名が消える

 全米図書館協会(American Library Association, 以下ALA)傘下の児童向け図書館サービス協会(Association for Library Service to Children, 以下ALSC)の理事会はこのほど全員一致で、ローラ・インガルス・ワイルダーの名前を児童書文学賞から取り除く決定をした。その理由として、協会は「ALSCのコアとなる価値観と、ワイルダーが描く黒人やネイティブインディアンに対する差別的、ステレオタイプ的な描写は相反する」からとコメントを出した。

 この児童書賞は初回の1954年にワイルダーに授与されており、彼女の本は今も読まれているが、その栄誉は異論なく受け入れられているわけではない。8作に及びアメリカの開拓民生活を描いた『大草原の小さな家』は1932〜1943年にかけて刊行され、広く読まれてきたが特に開拓民によって土地を奪われたOsage族はこの本をずっと非難してきた。

 ワイルダー自身も生前に、「(カンサスに)人はいない、インディアンだけ」という一文について謝罪し「開拓民はいない、インディアンだけ」と書き換えたりもしている。

関連リンク

全米図書館協会の声明文
http://www.ala.org/news/press-releases/2018/06/ala-alsc-respond-wilder-medal-name-change
英ガーディアン紙の記事
https://www.theguardian.com/books/2018/jun/24/laura-ingalls-wilders-name-removed-from-book-award-over-racial-concerns

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About 大原ケイ 67 Articles
NPO法人日本独立作家同盟 理事。日米で育ち、バイリンガルとして日本とアメリカで本に親しんできたバックグランドから、講談社のアメリカ法人やランダムハウスと講談社の提携事業に関わる。2008年に版権業務を代行するエージェントとして独立。主に日本の著作を欧米の編集者の元に持ち込む仕事をしていたところ、グーグルのブックスキャンプロジェクトやアマゾンのキンドル発売をきっかけに、アメリカの出版業界事情を日本に向けてレポートするようになった。著作に『ルポ 電子書籍大国アメリカ』(2010年、アスキー新書)、それをアップデートしたEブックなどがある。