HON[.]jp メールマガジン #398 2026年11月2日版 Subject: HON[.]jp メールマガジン #398 2026年11月2日版 From: HONjp 編集部 Date: 2026/11/02 6:00 To: honjp@aiajp.org HON[.]jp メールマガジン #398 2026年11月2日版 📗週刊出版ニュースまとめ&コラムや HON.jp からのお知らせなどをお届けします。HON[.]jp と表記しているのは、SNSなどで自動的にリンクになってしまうのを防止するためです。 鷹野 凌 2026.11.02 お知らせ   HON.jp メールマガジンではみなさまからのお便りをお待ちしています。深掘りしてほしい話題や質問などをこちらのフォームからお寄せください。   https://forms.gle/obCC2Cp6stg2B3XE7 週刊出版ニュースまとめ&コラム #738(2026年10月25日~31日)   【写真】源喜堂書店(photo by TAKANO Ryou) 【写真】源喜堂書店(photo by TAKANO Ryou)   編集長の鷹野が、広い意味での出版に関連する最新ニュースから気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントします。HON.jp News Blog のウェブサイトでも同時に公開していますので、SNSでシェアいただく場合や、リンクを貼っていただく場合は、こちらのURLをご利用ください。   https://hon.jp/news/1.0/0/59893 【政治】 ◆ GMO不正アクセスの脅迫サイト 総務省が通信会社に強制遮断を要請〈朝日新聞(2026年10月29日)〉   https://www.asahi.com/articles/ASVBX42PGVBXULFA01KM.html   こ、これは……2018年のNTTグループによる「漫画村」ブロッキング未遂事件のことを思い出しました。あのときは菅官房長官が「刑法の緊急避難で違法性が阻却される」という根拠を示していた(そして各方面から批判された)のですが、今回はとくに根拠は示されていないようです。批判の材料を与えない作戦か。   2018年当時は、中澤佑一弁護士がブロッキング差し止め請求の訴訟までやったんですよね。結局、NTTコムはブロッキングを実施せず、今後も予定はないとしたことから請求棄却になっています。今回も、早期にドメインが止められたことにより、プロバイダはブロッキングを実施していないようです。しかし「政府からの要請」という事実は重い。   今回も物議を醸しそう……と思いX(旧Twitter)で調べてみたら、当時と同じような議論が起きていました。また、ブロッキングは前回も今回も実施されてないのに、実施されたと思い込んでいる人がそれなりに散見され、頭が痛いです。是非を問う前にまず事実関係から確認しましょう。 【社会】 ◆ あえて許可を求めないでくれるか〈p2ptk[.]org(2026年10月25日)〉   https://p2ptk.org/copyright/5648   要約すると「アメリカの著作権法にはフェアユースがあるし、クリエイティブ・コモンズ・ライセンスによる事前許諾も実施しているのだから、いちいち許諾を求めてメールを送ってこないでくれ」というエッセイ。これは、日本式の「黙認」による「寛容的利用」が正解だったということなのかなあ。 ◆ 印税ゼロ・契約期間は無期限 漫画家カトウロカ氏がBevyを提訴 「出版権は消滅」確認求める異例の訴え〈coki(2026年10月27日)〉   https://coki.jp/article/column/96515/   NHK ONEになってからストレートニュースは1週間くらいで非公開化する運用に変わったため、NHKのニュースはHON.jp News Blogで取り上げないようにしています(拡張機能でドメイン指定してブロックしてます)。本件は他メディアの記事がなかなか出てこずNHKだけが報じていた状態だったので、ようやく続報が出てきて助かりました。なかなかえげつない契約ですね……名古屋の会社かあ。 ◆ 小学生「読書ゼロ」25年ぶり1割超、漫画に期待も3割弱「読まない」…学校図書館協議会「活字離れ深刻」〈読売新聞(2026年10月27日)〉   https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20261026-GYT1T00360/   雑誌を除く漫画の不読率は小学生28.2%、中学生40.2%、高校生50.8%だった   「漫画の不読率」がこの数字って、直感的におかしいと思いました。以前メルマガ増刊号でも取り上げましたが、こども家庭庁「令和7年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」によると電子書籍(小説・マンガ等)の利用率は「いずれかの端末」で小学生9.4%、中学生24.9%、高校生39.2%です。つまり、小<中<高の順に電子の利用率は高くなっています。不読率が小<中<高と逆の傾向になっている「学校読書調査」のこの数字は、電子を除いてるのでは? と疑っています。   そのあたりの詳細が読売新聞の記事には書かれていないし、全国SLAの「学校読書調査」ページにも記載がないので、どうやら機関誌『学校図書館』2026年11月号を確認するしかないようです。ちなみに去年は「電子書籍の読書経験」を、紙の書籍とは別項目で調査しているんですよね。 ◆ 【読書週間特集】寄稿「メディア未来予想図~20年後の出版~」〈The Bunka News デジタル(2026年10月29日)〉   https://www.bunkanews.jp/article/483739/   メディア・出版関係者の方々による「20年後の出版」予想です。「紙に回帰」というのは牧歌的だなと思いましたが、最近はアナログレコード市場が伸びていることを思えば、あり得ない話ではないか。とはいえアナログレコード市場は音楽市場全体で見れば極めてニッチな存在ではありますが。あとで自分も勝手に予想してみようかな。 ◆ Publishers File Amicus Brief in OpenAI Copyright Case(出版社がOpenAIの著作権訴訟で意見書を提出)〈Publishers Weekly(2026年10月29日)〉   https://www.publishersweekly.com/pw/by-topic/digital/copyright/article/101650-publishers-file-amicus-brief-in-openai-copyright-case.html   AAPによる“dilute the market for original created works(オリジナル作品の市場を希釈化する)”という主張の意見書です。以前から米著作権庁の報告書やMetaへの判決で指摘されていたことが、そのまま意見書に援用されています。Anthropicが紙の本を買い漁ってAI学習に使っていることは地裁判決でフェアユースが認定されましたが、OpenAIの訴訟でAAPのこの主張が通ると、フェアユース認定が覆されてしまうことになるんですよね。大騒ぎになる可能性大です。要注目。 ◆ Gemini Notebook、無料で数百冊の教科書にアクセス可能に 米国・インドの出版社提供 日本でも利用可〈ITmedia AI+(2026年10月30日)〉   https://www.itmedia.co.jp/aiplus/article/2610/30/2000002760/   なるほどこうきたか。「出版社提供」という言葉を素直に読めば、ちゃんと許諾をとって、対価もちゃんと払っているのでしょう。Google Playブックスで買った本がGemini Notebook(旧NotebookLM)のソースに使える「Expert Intelligence」の拡張版として位置付けられているそうです。   ユーザーには無料で提供しているから、Google Playブックスで販売している場合と同じモデルにはできません。出版社がGoogleに無償提供しているとは思えないので、初期だけグロスで料金を支払っているか、RAGで参照都度課金なのか。どういうモデルなんだろう?   個人的には、どちらにせよ初期だけ料金がかかるモデルってあまりよろしくないと思うのですよ。Geminiって有料プランでマネタイズしているわけだし、異なる用途で利用するのだから、ちゃんと別途ライセンス料支払えよっていう交渉をすべきだと思うのですが。 ◆ 小学生の絵に「AIくさい」 中傷相次ぎしょうゆコンクール公開中止〈朝日新聞(2026年10月31日)〉   https://www.asahi.com/articles/ASVBZ2WFHVBZUTIL023M.html   「画用紙での提出」だから、少なくとも誰かが手で描いた絵であるのは間違いありません。仮に受賞作が生成AIの出力を見て構図などを真似て描いたとして、なんの問題があるのか? という気がします。親が代わりに描いて出すよりなんぼかマシだと思うのですが。 【経済】 ◆ 日本円ステーブルコインJPYC、企業・電子決済に照準 黒字化は道半ば〈日本経済新聞(2026年10月27日)〉   https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB15BLA0V11C26A0000000/   ステーブルコインは「金融検閲」問題を解決する手段のひとつとして注目しているのですが、決済手段として導入するECサイトは思ったほど増えていません。出版系だとまだ「comilio」くらいでしょうか。実際に導入してみようと思うと、意外とハードルが高いようです。改めて調べてみたら、WooCommerceに接続できるサービスがもう出ているんですね。試してみようかな。 ◆ AIチャットが勧める広告商品、選択率が約3倍に こっそり他商品けなし誘導 米研究者らが検証:ちょっと昔のInnovative Tech〈ITmedia NEWS(2026年10月29日)〉   https://www.itmedia.co.jp/news/article/2610/29/2000002680/   これはあくまで実験の話ではあるのですが、AI企業が裏でどんな操作をしているかなんてわからない、完全なブラックボックスですからねぇ……OpenAIとかSpaceXSI(旧xAI)とかMetaなどの経営陣の邪悪さを見ていると、裏でなんか操作しててもおかしくないよなあ、と思えてしまいます。AIが人を言葉巧みに誘導することなんか、簡単にできちゃうでしょう。ちなみに私はひねくれものなので、AIチャットボットに勧められた商品はあえて避けるという行動に出ます。   これって、繰り返し否定されてきた、Google検索の“10 blue links”の順番が「広告を多く出稿しているところほど上位に表示されやすい」みたいな邪推と同じことが起きると思うのですよ。いまでは多くの人が「そんな邪悪なことはしていない(はず)」とGoogleをそれなりに信用しているわけですが、AIチャットボットがそう信じてもらえるポジションを築けるのかなあ?  ◆ 日販 『書店経営指標』と『出版物販売額の実態』を休刊〈The Bunka News デジタル(2026年10月29日)〉   https://www.bunkanews.jp/article/483818/   『出版物販売額の実態』はExcel版になってからも買い続けていたのですが、とうとう終了ですか……しかも2025年版が最後だから、今年からもう出ないという。日販のプレスリリースによると「算出の前提となるデータ収集環境が変化し、従来の推計手法を継続することが難しくなった」とのこと。   確かに、2025年版から「CVS」ルートが「その他取次経由」に統合されたり、「教科書市場」が「※作成時点で公的資料が未更新のため、前年値を掲載」だったりと、苦労している様子の片鱗は感じていたのですが。そのあたりもうちょっと詳しく話を聞いてみたいなあ。 ◆ 本や雑誌、大阪も発売日が「首都圏から1日遅れ」に 出版取次が提案〈朝日新聞(2026年10月29日)〉   https://www.asahi.com/articles/ASVBP5450VBPULFA026M.html   アレ? 一覧表に中国地方と北部九州がない……ここは現状と変わらずってことかしら? ◇ 取次の提案、簡単にのめない出版社「死活問題だ」 本の値上げ議論も〈朝日新聞(2026年10月29日)〉   https://www.asahi.com/articles/ASVBP5H4MVBPULFA02BM.html   一般的に、出版社の取り分は7割って言われてますけど、中小出版社の方から「運賃協力金を考えると現状でもすでに6割に近い」って声もあるんですよね。大手と中小とでは、正味や入金までのタイムラグなどの条件が違いすぎて、同じ土俵で議論できないという。 ◆ 氾濫する「偽攻略本」問題、Amazonに直撃してみた。『ゼルダ』『FFレゾナンス』など発売前のゲームにまで広がる怪しい書籍―運営元の見解は?〈Game*Spark(2026年10月30日)〉   https://www.gamespark.jp/article/2026/10/30/174306.html   KDPのコンテンツガイドラインだと「著作権、商標、ブランド、プライバシー、パブリシティ権、その他の権利を侵害していないことを必ず確認してください」あたりに引っかかる可能性が高そう。とくに商標。軽く調べてみたら、少なくとも「ゼルダの伝説」は第9類と第41類での商標登録が確認できました。つまり「電子出版物」が含まれています。Amazon Brand Registryに登録すれば、違反は自動ブロックされる……はず。 【技術】 ◆ ウェブサイトも“保守・修繕”の発想が必要。「PHPの脆弱性」から、経営層・サイト運営者に知っておいてほしいこと〈INTERNET Watch(2026年10月27日)〉   https://internet.watch.impress.co.jp/docs/special/2151050.html   基本的な話ですが、とくに経営層(あるいは自分でサイトを運営している人)には認識しておいて欲しいことが詰まっています。作って終わりじゃないんですよね。 ◆ コミックシーモアがサービスを一部再開。購入済み作品の閲覧などが可能に〈MANGA Watch(2026年10月29日)〉   https://manga.watch.impress.co.jp/docs/news/2152381.html   10月15日から停止していたので、2週間ぶり! まだ閲覧のみですが、一部でも復旧はめでたい。あとひといき! ◆ 「Renta!」一部サービスを再開 不正アクセスによる停止謝罪 利用者へパスワード変更など呼びかけ〈スポニチ Sponichi Annex 芸能(2026年10月30日)〉   https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2026/10/30/articles/20261030s00041000166000c.html   10月18日から停止していたので、ほぼ2週間ぶり! こちらもまだ閲覧機能だけですが、あとひといき。がんばって! ◆ Linuxカーネルの重大な脆弱性(CVE-2026-98432)によるカーリルへの影響について〈カーリルのブログ(2026年10月30日)〉   https://blog.calil.jp/2026/10/linux-kernel.html   図書館が利用者の情報を守り、事業者と実のある対話をするためには、図書館関係者一人ひとりが正しい理解をもち、学び続けることが欠かせません。無意味な儀式は、いますぐ停止してください。   辛辣。まあでも、そう言いたくなる気持ちはわかる。DoS攻撃みたいなものですもんね。   ***   本稿はクリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)ライセンスのもとに提供されています。営利目的で利用される場合はご一報ください。   https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja その他のお知らせ 新刊について   クリス・アンダーソンの名著『フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略』(2009年・NHK出版)を再読し、日本の出版状況に合わせて考察した10年前の連載コラムが本になりました。最終章は書きおろしの「生成AIとフリー」です。   https://hon.jp/news/books/9784910832258-9784910832265 Readersに登録しよう!   HON.jp News Blog をもっと楽しく便利に活用するための登録ユーザー制度「Readers」を開始しました。ユーザー登録すると、HON.jp News Blogの記事にコメントできるようになったり、更新通知が届いたり、広告が非表示になったりします。詳しくは、こちらの案内ページをご確認ください。   https://hon.jp/news/readers 日刊出版ニュースまとめ   伝統的な取次&書店流通の商業出版からインターネットを活用したデジタルパブリッシングまで、広い意味での出版に関連する最新ニュースをメディアを問わずキュレーション。FacebookページやX(旧Twitter)などでは随時配信、このコーナーでは1日1回ヘッドラインをお届けします。   https://hon.jp/news/daily-news-summary HON.jp について   HON.jpは、本(HON)のつくり手をエンパワーする非営利団体です。「HON.jp News Blog」などのメディア事業、出版創作イベント「NovelJam」やセミナー・カンファレンスなどのイベント事業、「HON.jp Books」などの出版事業を行っています。事業収入だけでこれらの活動を継続するのは難しく、会費や寄付などみなさまのご支援が不可欠です。会員は随時募集中でさまざまな特典もご用意しています。さらなるご支援をお願いいたします。 入会案内   https://www.aiajp.org/application 寄付のご案内   https://www.aiajp.org/donation 広告掲載のご案内   https://hon.jp/news/ad 雑記   急に寒くなってきましたね。とくに日が落ちてから。先週までは、近所をうろつくときはまだ半袖半ズボンで大丈夫だったのですが、さすがにもう無理。風邪をひいてしまう(鷹野)   発行人:HON.jp   編集人:鷹野凌(HON.jp News Blog 編集長)   mail: honjp@aiajp.org   読者数:2,870   ***   メール版には返信できません。御意見や感想はウェブ版のコメント欄やおたより投稿フォームへどうぞ。   コメントする   この記事はSNS等でシェアできます。 facebookのシェアアイコン Xのシェアアイコン web記事へのリンクアイコン   いつもHON.jp メールマガジンをお読みいただきありがとうございます。   HON.jpは、ウェブメディア「HON.jp News Blog」や出版創作イベント「NovelJam」など、本(HON)のつくり手をエンパワーするさまざまな事業活動を非営利で行っています。この活動を継続・発展させるため、サポートメンバーを募集しています。   ぜひサポートメンバーに登録してご支援ください。月額800円です。なお、毎週月曜日に配信するメールマガジンは誰でも無料で閲覧できますが、theLetterではサポートメンバー限定記事も月1~2回くらい配信していく予定です。 登録する         theLetterのフッターロゴ ©2026 HON[.]jp メールマガジン コラボ企業・掲載媒体募集 送信元:株式会社OutNow 東京都中央区築地五丁目3番2号 theLetterへのお問い合わせはこちら