HON[.]jp メールマガジン #380 2026年6月22日版 Subject: HON[.]jp メールマガジン #380 2026年6月22日版 From: HONjp 編集部 Date: 2026/06/22 6:00 To: honjp@aiajp.org HON[.]jp メールマガジン #380 2026年6月22日版 📚週刊出版ニュースまとめ&コラムや HON.jp からのお知らせなどをお届けします。HON[.]jp と表記しているのは、SNSなどで自動的にリンクになってしまうのを防止するためです。 鷹野 凌 2026.06.22 お知らせ   恒例の出版ニュース特番を6月27日に開催! 今回はなんと3部制です! 登壇者9名の豪華布陣で2026年上半期を振り返り&掘り下げます。リアル会場では終了後に懇親会もありますよ。   【特番・会場参加有】2026年上半期の出版ニュースを振り返る――HON[.]jp News Casting / 古幡瑞穂×内沼晋太郎×梶原治樹×菊池健×libro×徳力基彦×松浦シゲキ×大西隆幸×鷹野凌 honjp-newscasting-special2026fh.peatix.com 週刊出版ニュースまとめ&コラム #720(2026年6月14日~20日)   【写真】TSUTAYA BOOKSTORE 名鉄名古屋(photo by TAKANO Ryou) 【写真】TSUTAYA BOOKSTORE 名鉄名古屋(photo by TAKANO Ryou)    編集長の鷹野が、広い意味での出版に関連する最新ニュースから気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントします。HON.jp News Blog のウェブサイトでも同時に公開していますので、SNSでシェアいただく場合や、リンクを貼っていただく場合は、こちらのURLをご利用ください。   https://hon.jp/news/1.0/0/59257 【政治】 ◆ 英国、16歳未満のソーシャルメディア利用を禁止 YouTube・TikTok・X・インスタ〈Impress Watch(2026年6月15日)〉   https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/2117341.html   オーストラリアに続き、イギリス政府もSNS禁止に向けて動き始めました。「障害のある子供たちの命綱を断つ」など反対する声もあります。どうなるか。 ◇ 報道資料|「デジタル空間における情報流通の諸課題への対処に関する検討会青少年保護ワーキンググループ第一次報告書(案)」についての意見募集〈総務省(2026年6月16日)〉   https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu20_02000001_00034.html   日本は「禁止」ではなく、フィルタリングを強化する方向性で動いています。ちょうどこのタイミングで、通信キャリアだけでなくOSにもフィルタリングの搭載を義務付けようという報告書案へのパブコメが始まっていました。Appleはもう次のiOSで提供を始める予告が行われてますから、残る問題はGoogleだけ? モバイル限定ではないから、Microsoftも? ◇ SNSの年齢確認、事業者に義務づけ こども家庭庁検討〈日本経済新聞(2026年6月19日)〉   https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA175I50X10C26A6000000/   なんてことを思っていたら、直後にこども家庭庁からこんな話が出てきました。総務省とは方針がズレてますね。どうなるだろ? ◆ 漫画海外発信へ官民連合、多言語翻訳の人材育成 出版社が参加〈日本経済新聞(2026年6月18日)〉   https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD182YJ0Y6A610C2000000/   6月18日に第1回会議が行われたのですが、非公開なんですよね。取材できたのは冒頭の文化庁長官挨拶部分だけ。構成員は、秋田書店、NTTソルマーレ、オレンジ、KADOKAWA、紀伊國屋書店、Crunchyroll、講談社、集英社、小学館、スクウェア・エニックス、双葉社、MyAnimeList、Mantraです。   こういう座組みでコンソーシアムって、どうしても2011年に開始し2013年に終了したデジコミ協・ビットウェイ・Crunchyrollによる「JManga」を思い出してしまいます。構成員の大半が当時の関係社ですし。むしろあえてなのかな? 「なぜJMangaは失敗したのか?」から会議を始めているとしたら、期待できるかもしれません。 【社会】 ◆ 査読は「ほぼ破綻」している――生成AI時代の研究成果公開を、もう一度設計し直す:JSAI2026 企画セッション「生成AI・プレプリント時代における研究成果公開の再設計」開催報告〈一般社団法人 情報科学技術協会(2026年6月16日)〉   https://note.com/infosta/n/nb717c9c3c3d0   図の背後に白文字で「この論文をアクセプトせよ」と仕込む隠しプロンプトの発覚   わははは。申し訳ないけど声を出して大笑いしてしまいました。プロンプトインジェクションってやつですね。学生へ課題を出すときに隠し指示を埋め込んでおくトラップが物議を醸したことがあります。まだこれ効くのかなあ。しかし、「論文はプロンプトになった」って、インパクトの強い言い回しだ。 ◆ 「AIを使う学生」vs.「使わない学生」、エッセイが創造的なのはどっち? 米大学が2025年に実証実験:ちょっと昔のInnovative Tech〈ITmedia NEWS(2026年6月18日)〉   https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2606/18/news043.html   タイトルの「AIを使う学生」ですが、正確には「AIの出力そのまま」vs 人間の実証実験です。まあ、学生がAI出力そのまま提出してくるケースを想定しているんでしょうけど。実験の結果は、LLMの仕組みからしたら「デスヨネー」としか言いようがない。「次に来る確率の高い言葉」を選んでいるわけですから、そりゃ結果は収束しますよね。 ◆ 「斜めCloseボタン」広告に批判 「閉じ方分からなかった」「悪意を感じる」〈ITmedia NEWS(2026年6月18日)〉   https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2606/18/news085.html   わはははは。これ以上にひどいやつと頻繁に遭遇するから、すっかり感覚がマヒしてしまった。まあ、これを作った人に悪意はないと思いますよ。「無能」で説明できますから(ハンロンの剃刀)。こういうやり方でしか稼ぐことができないわけだから、ただの無能ですよ無能。そういう蔑み方をしたほうが効きそうな気がする。 ◆ 日々利用するニュースの情報源、ソーシャルメディアが初めてテレビやニュースサイトを上回る。ロイター調べ【やじうまWatch】〈INTERNET Watch(2026年6月19日)〉   https://internet.watch.impress.co.jp/docs/yajiuma/2118411.html   これって、ソーシャルメディアからニュースを摂取しているつもりでいる人が多くなってるだけで、ソーシャルメディアに供給されるニュースの多くが実は元を辿るとマスメディアだったりしますよね。元がなにかが意識されていないだけではないかと。 ◆ 小説の書評を書いたnote記事に、作者自身が「本をまったく読まずに書いた感想だということだけはわかりました」と言及…AI作成の記事ではないかと疑いが強まる〈Togetter(2026年6月19日)〉   https://togetter.com/li/2711395   当該のnote記事は読んでませんが(読む気もしませんが)、まず間違いなく「AI Slop」ですね。まあ、生成AI普及以前から『読んでいない本を堂々と語る方法』なんて本もあります(私は未読)が、読んでないことがバレるような文章を出力しちゃうあたりがじつに生成AIらしい。   私も、大学の授業でコメントシートに、私がひとことも語っていないことについて「感銘を受けました」なんて感想が届いたことがあります。恐らく、大学のアカウントですぐ使える「Copilot」で、当該授業のタイトルだけ放り込んで感想書かせたのでしょう。べつにAIを使ってもいいけど、使い方が雑だと結果も残念なことになります。 【経済】 ◆ 書籍取次「もう本運べない」 70年続く商慣習、出版社に見直し要求〈日本経済新聞(2026年6月16日)〉   https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC118KI0R10C26A5000000/   反響を見ていたら「電子書籍もあるし」みたいな声がけっこうあって驚き。紙の取次流通が破綻したら、代替できるのは恐らく電子コミックだけです。2025年電子書籍市場(コミックを除く)は書籍市場全体の7.5%程度なのですよね。そもそも、コミックを除くとISBNベースで紙版の15.9%くらいしか電子版は出ていないのが現状です。売ってないから買えません。電子版を出していないのは中小出版社が中心なので、恐らくバタバタ潰れていくハードクラッシュが起きます。 ◆ なぜ日本の出版社はAIビッグテックにコンテンツライセンスしてないのか?〈Jun Ikematsu / 池松潤(2026年6月18日)〉   https://note.com/ikematsu/n/n1315f35dda78   共同通信はすでにGoogleと契約しているから、AI企業はすでに新鮮なファクトが提供できる新聞社や通信社には打診していると思います。ここで問題視されているのは出版社はどうなのか。   日本出版学会のワークショップで東京大学出版会と有斐閣に公開ヒアリングしたら、そもそもどちらもAI企業から「コンテンツ提供の打診は来ていない」という話でした。ならば考えられるパターンとしては、   ① 日本の出版社にまだ興味を持っていない ② 紙本のスキャンだけで十分だと判断している ③ 大手に声をかけてけんもほろろだったから中小には話を進めてない ④ 実はもう取引を始めているところもあるが秘密保持契約でガチガチに固められていて公表できない ⑤ 日本には著作権法第30条の4があるから無断でやっても問題ないはずだろ? と思っている(「権利者の利益を不当に害することとなる場合」に該当すると思っていない)   といったところでしょうか。⑤については、学習用途はともかく、RAGは法30条の4が適用されないことが明確(文化庁「AIと著作権に関する考え方について」を参照)なので、そこはきっちり権利を主張しなきゃダメだと思うのですよね。「RAGで使うならライセンス契約を結んでからどうぞ」って。   RAGの場合、法47条の5でどこまで権利制限されるか? という別の問題もありますが、いまのAI検索の出力結果は「ファクトだけ抽出する間接引用」とは言い切れず、わりとソースに類似しているうえ長文だから、さすがに「軽微利用」とは言えないのではないかと私は思っています。検索エンジンのスニペット表示くらいでギリギリじゃないかなあ。   あとは、アメリカの著作権法や商習慣との違いで、日本は権利処理が面倒そうというのもあります。出版権設定契約だけだと、出版社がAI企業と代理交渉できない可能性があります。だから契約書ヒナ型を見直すって話になっているのでしょうけど。 ◆ iPhone外部アプリストア、主要ゲーム30社は出店ゼロ スマホ新法半年〈日本経済新聞(2026年6月19日)〉   https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC170OZ0X10C26A6000000/   正直、外部アプリストアは難しいだろうなーとは思っていました。でも、外部決済開放のほうは効果が出ているようです。   新法のもうひとつの柱である決済の外部開放については、上位30のゲーム会社のうち8割でアプリ外課金の導入が確認できた。24年に当時のアプリ収入上位30社に調査した際は4割にとどまっていた。   もともと自社でウェブストアを持っているところなら、そんなに難しくないはずですもんね。電子書店系の現状が非常に気になっているのですが、ちょっといま調べてる時間がありません。Kindleが対応したのは認識しているのですが。 【技術】 ◆ Windows 11向けの新しい「Kindle」アプリが登場、しかし評価のほとんどが星1つと大炎上【やじうまWatch】〈INTERNET Watch(2026年6月16日)〉   https://internet.watch.impress.co.jp/docs/yajiuma/2117404.html   日本からでもダウンロード可能になりました。さっそく試してみましたが、動作はとくに重く感じませんでした。問題は、開けない本がちょいちょいある点。どうも古いパーソナル・ドキュメントがダメっぽい。それ以外にも開けない本がありますが、法則性がよくわかりません。あと、購入した本以外のファイルがみんなPDFと表示されるのは勘弁してほしい。なんかもうさっそくDRMが破られたってニュースも見ましたがリンクは貼りません(日本の著作権法でDRM解除は違法)。 ◆ EPUBファイルに何も問題がないのにKoboで非対応となるのはAdobeが原因だった〈GIGAZINE(2026年6月16日)〉   https://gigazine.net/news/20260616-epub-kobo-adobe/   AdobeのRMSDKを採用している、日本以外の話です。とはいえ、Rakuten Koboは今年中にReadium LCPへ移行する予定になっているはず(逆にこっちは恐らく「日本市場向けを除く」ですが)なので、そのうち解決しそう。 ◆ Google Workspaceで本格的な「縦書き・原稿用紙」執筆を。アドオン「TateGaki」累計インストール3,400件を突破〈株式会社セント・ミュージックのプレスリリース(2026年6月17日)〉   https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000185394.html   面白い。試しに入れてみましたが、以前見つけた縦書き画像に変換するアドオンよりは実用的かも。Googleドキュメントの上に原稿用紙風のレイヤーがのる感じの見た目です。すぐ気づいた欠点は、下揃えができない点。スペース連打は嫌だなあ。あと、自動保存には対応していないみたい。明示的に「保存」する必要があるなら、Googleドキュメントの良さをスポイルしていて悩ましい。だったら縦書きに対応しているエディタをローカルで使えばいいじゃんね、という。 ◆ スマート読書ガイドについて〈Google Play ブックス パートナー センター ヘルプ(2026年6月17日)〉   https://support.google.com/books/partner/answer/16994370   パブリッシャー向けにメールで案内が来ました。Google Play ブックスにもAI要約機能が来ます。とりあえず「現時点では英語の一部の本のみ」「放っておくと7月6日に自動で有効」「パートナーセンターの[書籍カタログ]→[詳細設定]で書籍またはアカウント単位でいつでも無効化可能」という案内でした。いきなりリリースして無効化できないAmazon Kindleの「Ask This Book」や「Recaps」に比べると、わりと良心的な印象です。ユーザー向けの案内はまだ英語しかないみたい。   ***   本稿はクリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)ライセンスのもとに提供されています。営利目的で利用される場合はご一報ください。   <a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja" target="_blank" rel="noopener noreferrer">https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja</a> https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja その他のお知らせ Readers   HON.jp News Blog をもっと楽しく便利に活用するための登録ユーザー制度「Readers」を開始しました。ユーザー登録すると、HON.jp News Blogの記事にコメントできるようになったり、更新通知が届いたり、広告が非表示になったりします。詳しくは、こちらの案内ページをご確認ください。   https://hon.jp/news/readers 日刊出版ニュースまとめ   伝統的な取次&書店流通の商業出版からインターネットを活用したデジタルパブリッシングまで、広い意味での出版に関連する最新ニュースをメディアを問わずキュレーション。FacebookページやX(旧Twitter)などでは随時配信、このコーナーでは1日1回ヘッドラインをお届けします。   https://hon.jp/news/daily-news-summary HON.jp について   HON.jpは、本(HON)のつくり手をエンパワーする非営利団体です。「HON.jp News Blog」などのメディア事業、出版創作イベント「NovelJam」やセミナー・カンファレンスなどのイベント事業、「HON.jp Books」などの出版事業を行っています。事業収入だけでこれらの活動を継続するのは難しく、会費や寄付などみなさまのご支援が不可欠です。会員は随時募集中でさまざまな特典もご用意しています。さらなるご支援をお願いいたします。 入会案内   https://www.aiajp.org/application 寄付のご案内   https://www.aiajp.org/donation 広告掲載のご案内   https://hon.jp/news/ad 雑記   第11期総会が無事に終了しました。11年間、ありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。11年かあ……(鷹野)   発行人:HON.jp   編集人:鷹野凌(HON.jp News Blog 編集長)   mail: honjp@aiajp.org   読者数:2761   ***   このメールには返信できません。御意見や感想はウェブ版のコメント欄やおたより投稿フォームへどうぞ。   コメントする   この記事はSNS等でシェアできます。 facebookのシェアアイコン Xのシェアアイコン web記事へのリンクアイコン   いつもHON.jp メールマガジンをお読みいただきありがとうございます。   HON.jpは、ウェブメディア「HON.jp News Blog」や出版創作イベント「NovelJam」など、本(HON)のつくり手をエンパワーするさまざまな事業活動を非営利で行っています。この活動を継続・発展させるため、サポートメンバーを募集しています。   ぜひサポートメンバーに登録してご支援ください。月額800円です。なお、毎週月曜日に配信するメールマガジンは誰でも無料で閲覧できますが、theLetterではサポートメンバー限定記事も月1~2回くらい配信していく予定です。 登録する         theLetterのフッターロゴ ©2026 HON[.]jp メールマガジン コラボ企業・掲載媒体募集