HON.jp メールマガジン #371 2026年4月20日版 Subject: HON.jp メールマガジン #371 2026年4月20日版 From: HONjp 編集部 Date: 2026/04/20 6:00 To: honjp@aiajp.org HON.jp メールマガジン #371 2026年4月20日版 📖週刊出版ニュースまとめ&コラムや HON.jp からのお知らせなどをお届けします。 鷹野 凌 2026.04.20 お知らせ   2026年5月4日(月)開催の文学フリマ東京42に「HON.jp Books」として出店します。ブース位置は南3-4ホール こ-47〜48です。出版創作イベント「NovelJam」の合本や新刊『出版とフリー』などを販売します。   https://c.bunfree.net/c/tokyo42/4F/%E3%81%93/47 週刊出版ニュースまとめ&コラム #711(2026年4月12日~18日)   【写真】ジュンク堂書店 名古屋店(photo by TAKANO Ryou) 【写真】ジュンク堂書店 名古屋店(photo by TAKANO Ryou)    編集長の鷹野が、広い意味での出版に関連する最新ニュースから気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントします。HON.jp News Blog のウェブサイトでも同時に公開していますので、SNSでシェアいただく場合や、リンクを貼っていただく場合は、こちらのURLをご利用ください。   https://hon.jp/news/1.0/0/58816 【政治】 ◆ 社説:AI生成アニメ 著作権者を守る法規制講じよ〈読売新聞(2026年4月12日)〉   https://www.yomiuri.co.jp/editorial/20260411-GYT1T00371/   法規制を求める社説なのでとりあえず「政治」ジャンルに入れます。なんかもうね、間違いだらけの社説で頭抱えたくなりましたよ。   そもそも、AIでアニメを模した偽動画などを作成できるようになったのは、政府が2018年に著作権法を改正し、著作権者の許可なしにAIが学習することを認めたことが発端だろう。   そもそも、AI出力が既存の著作物と類似している場合は、現行法でも著作権侵害です。なぜ改正する必要が? 権利侵害が起きているならまず差し止め請求すればいいし、実際、CODAが即座にOpenAIへクレームを入れたこともあり、「Sora 2」のサービス提供は終了しましたよね。   さらに言えば、旧47条の7のころから統計的情報解析目的なら無断で利用できました。そして、2018年改正前の文化審議会著作権分科会に日本新聞協会も委員を送り込んでいますよね。改正にがっつり関わっていた当事者が、なに他人事のようなこと言ってるんですか。   もっと言えば、著作権法って属地主義ですから、日本の著作権法が改正されたところで、海外のAI企業にはあずかり知らぬ話です。「日本の著作権法が改正され、無断でAIの学習に利用できるようになった」から海外でAI学習が盛んになったとでも? んなはずないでしょ。   著作権法は「著作権者を保護し、文化の発展に寄与する」という理念を掲げて(後略)   おーい、前半の「これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ」を省くな! これじゃまるで権利保護だけが著作権法の目的みたいじゃないですか。公正な利用と権利保護の両方で文化の発展に寄与するのが著作権法の目的ですよ。意図的に省いているなら極めて悪質。 ◆ 映画「ゴジラ-1.0」ネタバレ記事、著作権侵害でサイト運営者に有罪〈日本経済新聞(2026年4月16日)〉   https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD1036S0Q6A410C2000000/   やっぱり許されませんでした。「映画でも、セリフをまるごと書き起こしてるなら違法とされる可能性は高いでしょう」と予想したとおりですね。しかし「責任は重い」と言ってるわりに、罰金100万ってずいぶん安くないですか。法人の著作権侵害は最高3億円なのに。 【社会】 ◆ 漫画『ドラえもん』連載終了よりも、“元少年”たちが驚いた小学館『月刊コロコロコミック』が770円の衝撃、価格上昇のウラ事情とは〈週刊女性PRIME(2026年4月16日)〉   https://www.jprime.jp/articles/-/41359   1977年の創刊時は320円だったコロコロ。1980年代になると10円上がって330円、1990年代半ばには400円となり、2000年に480円、2010年には500円。号数によって価格変動はあれども、2020年以降は600円台とワンコインでは購入できなくなった。/  そして現在は700円台となり、ドラえもん最終回が掲載された最新号は770円。コロコロも物価高の煽りを受けているのだろう、子どもたちの毎月のお小遣いでは気軽に捻出できない価格にも思える。   “ウラ事情”とか以前に、おもいっきりインフレの影響では? 2020年を100とした雑誌の物価指数は1977年が49.3に対し、2025年は120.9です。約2.5倍。つまり、創刊時320円なら2025年は約785円相当という計算になります。最新号が770円なら、ほぼインフレ率だけで説明できますよ。むしろ付録のぶん、創刊当時よりお得になっているかも。 ◆ AI小説、星新一賞を席巻 人間と区別つかず「人力小説部門」も議論〈日本経済新聞(2026年4月16日)〉   https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD0684S0W6A400C2000000/ ◇ AI小説と判明し書籍化取り消し 圧迫される投稿サイトの新着欄〈日本経済新聞(2026年4月17日)〉   https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUD068900W6A400C2000000/ ◇ 生成AI使用OKの「星新一賞」受賞作4作中3作でAI使用と判明、最相葉月氏は「AIの執筆した文章はもう読みたくない」Xでは「これこそ星新一的では」〈Togetter(2026年4月16日)〉   https://togetter.com/li/2686561   AI出力と人間の書いた作品の判別ができなくなったような状況は、「星新一賞」的にはむしろ喜ばしいことではないかと思うのですけどね。そもそも募集要項で排除していないわけですし。審査員の方に「AI出力だと見抜けなかったことが恥ずかしい」とか「恥をかかされた」みたいな意識があるのかなあ。 ◇ 執筆にAIを使う人がいることについて〈ふじたにおさむ(2026年4月16日)〉   https://note.com/ficciones_novel/n/n14615f393c2c   藤谷治氏は「初稿は手書き」なのですか! 確かに、書けない漢字でもコンピュータだと変換で出力できてしまいますもんね。私は、かなり意識して「開く」ようにしています。しかしこういう話になると、安部公房とワープロのエピソードを思い出します。うめ(小沢高広・妹尾朝子)/著『おもたせしました』で知ったんですよね。2巻掲載第15話「wagashi asobiのドライフルーツの羊羹」です。 【経済】 ◆ iモード開発者・松永氏「体温低い組織動かず」 夏野氏「多様性面白がれ」〈日本経済新聞(2026年4月14日)〉   https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC0841L0Y6A400C2000000/   夏野氏「僕は正直、大手出版社を買いたいと思っているんです。物流改革とか、海外拠点の設置などに関しては(自らが社長を務める)KADOKAWAが大手よりはるかに先行している。大手にはよいコンテンツがあるので、もったいない」   !? KADOKAWA社長の立場から見た「大手」って、音羽と一ツ橋だけですよね。まあ、そもそも音羽も一ツ橋も株式市場に上場してないから、買うためのハードルはめちゃくちゃ高いと思いますし、そんなことは百も承知で半分冗句のように言っているのだと思いますけど。   ちなみに、KADOKAWAのBECみたいな物流改革は、講談社のほうが先行しているような……ふじみ野工場のDSRで成果が出ているという話を、コロナ禍の直前にpage2020で伺っているんですよね。メモは残してあるんですが、バタバタしていて記事化のタイミングを逃してしまったのが悔やまれる。 ◆ 第19回 書店人の覚書帳〈草彅主税(2026年4月14日)〉   https://note.com/kusanagi_9379/n/n836fd31f71a8   出版業界には、「三位一体」と言う美しい言葉があります。/ しかし、私がこの40年、目の当たりにしてきた業界三者(出版社、取次、書店)の動きは、各々勝手に、自社を利するため、己を利するために動いていた40年だったように思います。   私はこの「三位一体」って言葉を見るたびに「著者は? 読者は?」と思ってました。とくに著者の存在が無視されたかのような物言いには、どうにも合点がいかないのですよね。文部科学省「図書館・学校図書館の運営の充実に関する有識者会議」にもそういう意見を送ったのに、ガン無視されたのはけっこうショックでした。忘れないゾ。 ◆ 【最新号案内:2026年4月16日号】公取委、出版社へ適切な「価格転嫁」指摘/「出版社による買いたたき」発言を受けて/日本出版取次協会理事・田仲幹弘氏(トーハン副社長)に聞く〈新文化オンライン(2026年4月16日)〉   https://www.shinbunka.co.jp/archives/13081   業界関係者がざわざわしていた見出し。幸い、新文化はe-SHINBUN対応なので、コンビニプリントか電子版を単号で購入可能です。買って読んでみましたが、再販制の弾力運用に関する公取委の定例ヒアリングの席で「出版社による事実上の買い叩き」という発言が飛び出して大変驚いた、といった内容でした。これ、もしかしたら再販制「当面存置」の見直し、という話に発展するかもしれませんねぇ……。 ◆ 異世界系多い出版社、マンガとラノベの売上に“4倍”も差 オーバーラップは半年で40作の新規IP獲得〈オタク総研(2026年4月16日)〉   https://0115765.com/archives/180496   「“4倍”も差」とありますが、コミック市場とラノベ市場を比べたら、正直「4倍しか違わないの?」という気がします。つまり、ラノベもけっこう頑張ってますね、と言いたい。 ◆ Authors Guild Statement on Use of AI in Publishing and New Model Contract Clause(出版におけるAIの利用と新たな契約条項に関する作家協会の声明)〈The Authors Guild(2026年4月16日)〉   https://authorsguild.org/news/use-of-ai-in-publishing-and-new-model-contract-clause/   日本では書協が生成AI対応で契約書ヒナ型の見直しを開始していて私は警鐘を鳴らしていますが、アメリカの作家協会は、むしろ出版社の生成AI利用を抑止する条項を入れるべきだという声明を発表しています。原稿がAIに学習されてしまう恐れがあるから、著者の許可なく原稿をAIにアップロードしてはならない。あるいは、著者の文章にAI出力が混入することを防ぐため、編集にAIを使用してはならない、と。なるほど! さすがの動き。やるなあ。 【技術】 ◆ Will the discontinuation of Kindle e-readers be Kobo’s gain?((旧型)キンドル電子書籍リーダーの販売終了はコボにとって有利に働くのか?)〈Good e-Reader(2026年4月12日)〉   https://goodereader.com/blog/electronic-readers/will-the-discontinuation-of-kindle-e-readers-be-kobos-gain   記事内では触れられていませんが、KoboがLCPに対応したらけっこうユーザーが流れる気がしているんですよね。公式発表はまだないですが、EDRLabによるとKoboも今年対応予定なのです。 ◇ Kobo is teasing Spring Surprise this weekend(コボが今週末に春のサプライズを予告)〈Good e-Reader(2026年4月16日)〉   https://goodereader.com/blog/kobo-ereader-news/kobo-is-teasing-spring-surprise-this-weekend   というわけで気になるサプライズ。FCCへの新たな申請は行われていないので、新端末ではないことは確実だそうです。ソフトウェアアップデートだけで可能なLCP対応の公式発表と予想しておきます。そして、恐らく日本は非対応なんだろうなあ。 ◆ Google、「バックボタン ハイジャッキング」をスパムポリシー違反に追加。2026年6月15日からペナルティの対象に〈海外SEO情報ブログ(2026年4月14日)〉   https://www.suzukikenichi.com/blog/google-has-added-back-button-hijacking-to-its-list-of-spam-policy-violations/   ブラウザの[戻る]ボタンを押すと元のページに戻らず広告表示が割り込むやつが、やっと禁止に。[戻る]ボタンで戻れないという利用者の意図に反する動作ですから、下手をすると不正指令電磁的記録に関する罪に問われる可能性もある挙動だったと思います。私が巡回しているウェブサイトでもけっこう採用しているところが多かったですから、さっさと外しやがれください。 ◆ 購入した電子書籍がサービス終了後も問題なく読み続けられるような“所有できるDRM”は日本でも普及するだろうか?(してほしい)〈HON.jp メールマガジン(2026年4月14日)〉   https://honjp.theletter.jp/posts/8896a770-a6b0-4f9a-8538-1b2613b84286   Readium LCPの歴史と現状についてまとめておきました。サポートメンバー限定部分では、日本でも普及して欲しいけど難しそう、とか、コピーや移動に制限はなくても生成AIに読ませるみたいなことはできない、といった話をしています。ちょうどこのLCPについての原稿を書いているとき、前述のKoboのニュースを目にしたのでありました。関係あるかな? あるといいな。 ◆ 漫画原稿の活字をAIが指定 スクエニHD、編集者の負担軽減〈日本経済新聞(2026年4月16日)〉   https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2926B0Z20C26A3000000/   こちらの記事にはスクエニの名前しか記載されていないのですが、あとからプレスリリースが出てMantraが関わっていることが判明しました。 ◇ マンガAI翻訳のMantra、スクウェア・エニックスとマンガの写植指定エンジンを共同開発〈Mantra株式会社のプレスリリース(2026年4月16日)〉   https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000044.000059295.html   ※本技術は既存のマンガ原稿に対する文字配置・組版作業を支援するものであり、マンガの作画や表現そのものを生成・変更、また学習させるものではありません   最近の生成AIに対する反発を見ていると、やはりこういう注意書きが必須なのだな、と。記事をろくに読みもしないで反発してる声も散見されましたから。   ***   本稿はクリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)ライセンスのもとに提供されています。営利目的で利用される場合はご一報ください。   https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja その他のお知らせ Readers   HON.jp News Blog をもっと楽しく便利に活用するための登録ユーザー制度「Readers」を開始しました。ユーザー登録すると、HONꓸjp News Blogの記事にコメントできるようになったり、更新通知が届いたり、広告が非表示になったりします。詳しくは、こちらの案内ページをご確認ください。   https://hon.jp/news/readers 日刊出版ニュースまとめ   伝統的な取次&書店流通の商業出版からインターネットを活用したデジタルパブリッシングまで、広い意味での出版に関連する最新ニュースをメディアを問わずキュレーション。FacebookページやX(旧Twitter)などでは随時配信、このコーナーでは1日1回ヘッドラインをお届けします。   https://hon.jp/news/daily-news-summary HON.jp について   HON.jpは、本(HON)のつくり手をエンパワーする非営利団体です。「HON.jp News Blog」などのメディア事業、出版創作イベント「NovelJam」やセミナー・カンファレンスなどのイベント事業、「HON.jp Books」などの出版事業を行っています。事業収入だけでこれらの活動を継続するのは難しく、会費や寄付などみなさまのご支援が不可欠です。会員は随時募集中でさまざまな特典もご用意しています。さらなるご支援をお願いいたします。 入会案内   https://www.aiajp.org/application 寄付のご案内   https://www.aiajp.org/donation 広告掲載のご案内   https://hon.jp/news/ad 雑記   「文学フリマ東京42で、自分の新刊も欲しいな……」と思い立ち、昔の原稿を引っ張り出してきました。年鑑2016に収録してあるんですが、埋もれてる感があったんですよね。まだ少し時間があるので、再読&加筆を試みる予定です。表紙はギリギリのところを狙ってます。怒られませんように!(鷹野)   発行人:HON.jp   編集人:鷹野凌(HON.jp News Blog 編集長)   mail: honjp@aiajp.org   配信数:2663通   ***   このメールには返信できません。御意見や感想はウェブ版のコメント欄やおたより投稿フォームへどうぞ。   コメントする   この記事はSNS等でシェアできます。 facebookのシェアアイコン Xのシェアアイコン web記事へのリンクアイコン   いつもHON.jp メールマガジンをお読みいただきありがとうございます。   HON.jpは、ウェブメディア「HON.jp News Blog」や出版創作イベント「NovelJam」など、本(HON)のつくり手をエンパワーするさまざまな事業活動を非営利で行っています。この活動を継続・発展させるため、サポートメンバーを募集しています。   ぜひサポートメンバーに登録してご支援ください。月額800円です。なお、毎週月曜日に配信するメールマガジンは誰でも無料で閲覧できますが、theLetterではサポートメンバー限定記事も月1~2回くらい配信していく予定です。 登録する         theLetterのフッターロゴ ©2026 HON.jp メールマガジン コラボ企業・掲載媒体募集