HON.jp メールマガジン #370 2026年4月13日版 Subject: HON.jp メールマガジン #370 2026年4月13日版 From: HONjp 編集部 Date: 2026/04/13 6:00 To: honjp@aiajp.org HON.jp メールマガジン #370 2026年4月13日版 📙週刊出版ニュースまとめ&コラムや HON.jp からのお知らせなどをお届けします。 鷹野 凌 2026.04.13 お知らせ   2026年5月4日(月)開催の文学フリマ東京42に「HON.jp Books」として出店します。ブース位置は南3-4ホール こ-47〜48です。出版創作イベント「NovelJam」の合本などを販売します。   https://c.bunfree.net/c/tokyo42/4F/%E3%81%93/47 週刊出版ニュースまとめ&コラム #710(2026年4月5日~11日)   【写真】Rakuten Koboブース(photo by TAKANO Ryou) 【写真】Rakuten Koboブース(photo by TAKANO Ryou)    編集長の鷹野が、広い意味での出版に関連する最新ニュースから気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントします。HON.jp News Blog のウェブサイトでも同時に公開していますので、SNSでシェアいただく場合や、リンクを貼っていただく場合は、こちらのURLをご利用ください。   https://hon.jp/news/1.0/0/58769 【政治】 ◆ 清瀬市長、旧中央図書館の再開断念 公約を果たせず「非常に悔しい」〈朝日新聞(2026年4月6日)〉   https://www.asahi.com/articles/ASV4633WNV46OXIE037M.html   先週の本欄(#709)で、すでに内装撤去まで終わってる段階まで進んでいたことについて触れ、いろいろ大変そうだという見解をお伝えしましたが、やはり無理だという判断に。この記事にはありませんが、剥がされた内装の現状写真も公開されていて、さすがにこれは無理だろうな…… という印象を受けました。閉館されたのは4館なので、残り3館がどうなるか。 ◆ デジタル教科書が正式な教科書に、関連法案を閣議決定…「浅い読み」になりやすいなど懸念も〈読売新聞(2026年4月7日)〉   https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20260407-GYT1T00136/   デジタル教科書には徹底的に反対論陣を張り続けている読売新聞だけあって、今回もデジタルのデメリットを強調する書きぶりになっています。無料部分しか読めてませんが。 ◇ デジタル教科書に適した学年・教科の議論開始、有識者ら10項目の論点提示…「小学校では紙が優位」意見も〈読売新聞(2026年4月10日)〉   https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20260410-GYT1T00299/   まあ実際、この議論の段階で骨抜きにされちゃう可能性もあるわけですよね。重い紙の教科書は学校に置いて、GIGA端末だけ持って通学できるようになったらラクだろうになあ。 ◆ ネタバレ記事は許されるか、「文字だけで本質伝わらない」と無罪主張…「ゴジラ」上映する異例の裁判に〈読売新聞(2026年4月9日)〉   https://www.yomiuri.co.jp/national/20260409-GYT1T00002/   こちら、2024年にCODAが経済産業省受託事業の一環として被害権利者の取りまとめをして摘発された事例と思われます。映像を文字で表現したら、それは翻案になるのか? という争点が面白い。ぜひ最高裁まで争って判例をきっちり確立してほしいです。   ただ、反響を見ていると「ネタバレ」って言い方がなんか誤解を招いている節があるので、そろそろやめたほうがいいかもしれないと思いました。今回の場合、たとえば「文字で無断転載」とか。CODAのリリースでは「文字抜き出しサイト」って表現をしてますが、ぜんぜん定着してないですよね。   ちなみに類似事例で、マンガのセリフをまるごと書き起こしていた『ケンガンオメガ』の事件では、文字で無断転載したサイトは発信者情報開示請求が通って書類送検されています。映画でも、セリフをまるごと書き起こしてるなら違法とされる可能性は高いでしょう。つまり、程度次第じゃないかしら。 【社会】 ◆ 10代の「マンガ離れ」はもう止まらない…「大人向け課金」に走った日本のマンガ界の歪さを示すデータ〈PRESIDENT Online(2026年4月6日)〉   https://president.jp/articles/-/111189 ◇ 「10代のマンガ離れ」をデータで語る記事が話題になるが、マンガ編集者の人が「コミックアプリの利用率が触れられていない」と反論する〈Togetter(2026年4月7日)〉   https://togetter.com/li/2683440 ◇ 「子どもはマンガ離れしているのではなくマンガアプリに移行している」論の虚妄(飯田一史) - エキスパート〈Yahoo!ニュース(2026年4月8日)〉   https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/d850b82645e4674ece77ce26ee9df365b0a1f239   まず大前提として、紙の出版市場が縮小したことにより、書店数が減少し、コンビニでも雑誌が扱われなくなっている現状があります。その結果、子供とマンガ誌(紙)の接点が失われつつあるのは事実でしょう。恐らくここについてはみんな異論はないはず。   そして、デジタル出版では端末を保有する必要があることや、現金決済ができないことから、子供へのアプローチが難しい。これはずいぶん前から言われ続けてきたことでもありますから、ここへの危機意識も恐らくみんな共有できているはずでしょう。   実際、こども家庭庁「令和7年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」によると小中学生のスマホ利用率は、6歳:15.3%、7歳:22.8%、8歳:28.1%、9歳:33.3%、10歳:39.9%、11歳:50.8%、12歳:66.3%、13歳:84.4%、14歳:83.0%、15歳:91.7%といった具合です。   ただしインターネット利用率は低年齢でもけっこう高くなってきており、6歳:79.9%、7歳:88.6%、8歳:91.3%、9歳:94.0%(ここまで親による回答)、10歳:97.9%、11歳:98.6%、12歳:99.4%となっています。自分の端末を持っていない子供は、学校配布指定のGIGA端末、ゲーム機、テレビ、自宅用(つまり共用)パソコンやタブレットでインターネットを利用しているのが実態です。   電子書籍(小説・マンガ等)の利用率は、スマホだと小学生:5.1%、中学生:23.3%、高校生:38.3%です。いずれかの端末だともう少し値は増えますが、それでも小学生:9.4%、中学生:24.9%、高校生:39.2%です。保護者調査では用途を聞いていないので、本人調査の10歳以上に限った値ではありますが、電子書籍(小説・マンガ等)が低年齢層にはあまりアプローチできていないのは事実だと考えるべきでしょう。   では、インターネット利用率はそれなりに高いのに、なぜ電子書籍(小説・マンガ等)の利用率は低いのか? まず考えられるのは、キャリアが提供しているフィルタリングサービスの影響です。調べてみたところ、三大キャリアのうちドコモとauは小学生に対して電子書籍・電子雑誌を制限しています(ソフトバンクは制限なしでした)。   また、1人1台配布されたGIGA端末にもフィルタリングサービスが適用されているため、ウェブ版のマンガサービスへのアクセスは制限されている可能性があります(対象は自治体によって異なる)。リテラシーが高い子は迂回する道を見つけ出しちゃう可能性もあるでしょうけど、まあ、ハードルが高いのは確かでしょう。   でもさすがに電子図書館サービスはフィルタリングされないはず。だから、たとえば「これも学習マンガだ!」に取り上げられているようなマンガの電子版は、子供に慣れ親しんでもらう意味で、電子図書館サービス向けにバンバン配信したほうがいいと思うのですよね。っていうかやるべきでしょう。   さてここからは重箱の隅です。PRESIDENT Onlineの1ページ目にある図表1「マンガの推定販売金額」ですが、2021年の値が過去最高になっています。これは明らかにおかしいです。私が間違えたのか? と慌てて出版指標を確認し直したのですが、私のグラフは合っていました。修正した方がよさそう。   また、3ページ目の図表3「マンガ読書率の推移」ですが、出典のベネッセ教育総合研究所と東京大学による調査「子どもの読書行動の実態 調査結果からわかること(PDF)」にも書いてあるように「月に何冊くらい読みますか」という設問になっています。これって、たとえばウェブ版のマンガサービスや「待てば無料」みたいな形式で話読みをしてる場合は、何冊って答えればいいんでしょうね? つまりこれは、冊子体しか考慮していない設問が悪い。   あと、これは以前から何度も指摘していることですが、ベネッセ×東大の調査はパネルに偏りがあります。『パネル調査にみる子どもの成長』(勁草書房・2024年)には明記されているのですが、たとえば「進研ゼミの受講者がやや多い」傾向があります。つまり、教育に熱心な家庭の子供を中心とした調査結果という目で見たほうがよさそう。   他にも、インプレス「電子書籍ビジネス調査報告書」は調査対象がatocos株式会社「スマートアンサー」の保有するアンケートパネルで、モバイル機器(スマートフォン・タブレット)ユーザー限定(つまり家庭内共有PCなどでの利用は対象外)という点と、15歳以上だから「10代」は中学3年生から大学1年生に限られている点に留意する必要があります。   また、4ページ目「また、マンガアプリの利用推奨年齢は、大抵、15歳以上または18歳以上に設定されている」は、なにかの間違いだと思われます。インプレス「電子書籍ビジネス調査報告書2025」の利用率調査で上位10サービスの年齢制限を確認してみましたが、Google Playでは7サービスが「12歳以上」、App Storeでは7サービスが「13歳以上」でした。   これは当事者(サービス事業者)からすると少々困った間違いだと思うので、訂正したほうがよいかも。まあ、子供(とくに小学生)へのアプローチに課題があるという記事の問題提起の根幹は揺るがないのですが。だからといって、多少の間違いがあっても問題ない、というわけでもないので、あえて指摘させていただきます。 【経済】 ◆ 朝日新聞社長「AI全振り」宣言 スーパー記者構想の狙いは〈日本経済新聞(2026年4月7日)〉   https://www.nikkei.com/article/DGXZQOSG024230S6A200C2000000/ ◇ 「AIはあくまで補助」――朝日新聞、「社長『AI全振り』宣言」との日経記事巡り声明〈ITmedia AI+(2026年4月9日)〉   https://www.itmedia.co.jp/aiplus/articles/2604/09/news116.html   紙媒体にこだわり続ける読売新聞に対し、デジタル重視に舵を切った朝日新聞、という構図になっていて興味深いと私は思ったのですが、なんか「AI全振り」って見出しがプチ炎上していたようです。この「AI全振り」ってキーワードが良いかどうかは別として(実際、補助的に使うだけならぜんぜん「全振り」ではないわけですから)、私が目撃している批判の多くは、単に朝日新聞やAIが嫌いな人が、記事をまともに読まずに印象だけで決めつけている感じがしました。 ◇ AI企業への記事提供は対価を生まない メディアは吟味を〈日本経済新聞(2026年4月8日)〉   https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2439W0U6A220C2000000/   上記の読売新聞・朝日新聞もこちらも、日本経済新聞特集「AI時代の新聞を考える 経営者・著名人らの メッセージ 報道の未来 インタビュー集」に含まれています。こちらは元Google News担当者へのインタビューです。   新聞社にとって最大の脅威はグーグル検索のようなプラットフォームではなく、インターネットそのものだった。せっかくグーグルからトラフィックを得ても、多くのニュースサイトは広告が多すぎて設計が洗練されておらず、利用者が購読料を払って再訪したいとは思えない。読者のニーズに合っていないサイト運営こそが問題なのだ。   笑ってしまった。めちゃくちゃ辛辣ですけど、これが真理ですよね。 ◆ JPIC「TIRM2026」出展募集開始 名称に「INTERNATIONAL」冠し国際化鮮明に〈The Bunka News デジタル(2026年4月10日)〉   https://www.bunkanews.jp/article/460155/   TIRMは“TOKYO INTERNATIONAL RIGHTS MEETING”とのこと。日本語にすると東京国際版権会議でしょうか。東京国際ブックフェアを想起しますね。もともとブックフェアって版権輸出やライセンスビジネスのための場だったことを考えると、原点回帰なのかも。 【技術】 ◆ Do readers want Google Play Books to integrate AI?(読者はグーグル・プレイ・ブックスにAIの統合を望んでいるのか?)〈Good e-Reader(2026年4月6日)〉   https://goodereader.com/blog/digital-publishing/do-readers-want-google-play-books-to-integrate-ai   報道によると、Google Playブックスアプリに“Ask Gemini”ボタンが追加される予定とのこと。どこの報道か書いてないしリンクも貼ってないのがお行儀悪い。調べたらAndroid Authorityというサイトで昨年末の記事が見つかりました。   ボタン名がKindleですでにリリースされている“Ask this Book”を想起させますが、こちらは質問できる範囲が既読ページに限定されています。同じような配慮を、Googleがやるかどうか。Kindleは配慮していてもなお、著者団体から「目的外利用だ」と反発されてますからね。Googleのときは、どうなることやら。 ◆ Amazon is now showing what EPUB Kindle Books are DRM-Free(アマゾンがDRMフリーのEPUBキンドル書籍を表示するようになった)〈Good e-Reader(2026年4月6日)〉   https://goodereader.com/blog/kindle/amazon-is-now-showing-what-epub-kindle-books-are-drm-free   以前、「少々残念な仕様」だと批判したKindleのDRMフリー書籍についての続報です。内容紹介文の下に“At the Publisher’s request, this title is being sold without Digital Rights Management Software (DRM) applied.(出版社の要請により、このタイトルはデジタル著作権管理(DRM)ソフトウェアを適用せずに販売されています)”という表示が出るようになったとのこと。批判した甲斐があったのかしら? ただし、本稿執筆時点で日本のストアには未反映です。自分のセルパブ本をDRMフリーで配信してるから確認できるのだ。 ◆ Amazonが旧型Kindle&Kindle Fireのサポートを終了〈GIGAZINE(2026年4月8日)〉   https://gigazine.net/news/20260408-amazon-end-support-older-kindle-fire/   2012年製までサポート終了です。初代Kindleなんて2007年発売ですから、よくいままでサポートし続けたなあ、とむしろ感心します。あ、父親にプレゼントしたKindle Paperwhiteが2012年モデルだったなあ……たぶんもう使ってない(画面が大きいPCで読んでる)から恐らく大丈夫だけど。 ◇ You can no longer buy e-books on Amazon Kindle made in 2012 or earlier(2012年以前に製造されたアマゾン・キンドルでは、電子書籍を購入できなくなりました)〈Good e-Reader(2026年4月8日)〉   https://goodereader.com/blog/kindle/you-can-no-longer-buy-e-books-on-amazon-kindles-2012-and-earlier   You can think of these e-readers as glorified paperweights, since they have no use anymore.(これらの電子書籍リーダーはもはや使い道がないため、いわば高級な文鎮と考えてよいでしょう)   笑ってしまった。皮肉が効いてる。   ***   本稿はクリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)ライセンスのもとに提供されています。営利目的で利用される場合はご一報ください。   https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja その他のお知らせ Readers   HON.jp News Blog をもっと楽しく便利に活用するための登録ユーザー制度「Readers」を開始しました。ユーザー登録すると、HONꓸjp News Blogの記事にコメントできるようになったり、更新通知が届いたり、広告が非表示になったりします。詳しくは、こちらの案内ページをご確認ください。   https://hon.jp/news/readers 日刊出版ニュースまとめ   伝統的な取次&書店流通の商業出版からインターネットを活用したデジタルパブリッシングまで、広い意味での出版に関連する最新ニュースをメディアを問わずキュレーション。FacebookページやX(旧Twitter)などでは随時配信、このコーナーでは1日1回ヘッドラインをお届けします。   https://hon.jp/news/daily-news-summary HON.jp について   HON.jpは、本(HON)のつくり手をエンパワーする非営利団体です。「HON.jp News Blog」などのメディア事業、出版創作イベント「NovelJam」やセミナー・カンファレンスなどのイベント事業、「HON.jp Books」などの出版事業を行っています。事業収入だけでこれらの活動を継続するのは難しく、会費や寄付などみなさまのご支援が不可欠です。会員は随時募集中でさまざまな特典もご用意しています。さらなるご支援をお願いいたします。 入会案内   https://www.aiajp.org/application 寄付のご案内   https://www.aiajp.org/donation 広告掲載のご案内   https://hon.jp/news/ad 雑記   今年も大学の授業が始まりました。「編集デザイン特殊研究」というちょっとなにやってるかよくわからない科目名の、デジタル出版の演習授業(ワークショップ)です。今週の頭に履修者名簿を見たら「70名」とか表示されていて死ヌ! と焦ったのですが、知らないうちに抽選が行われていたようで、始まってみたら30名に減っていました。それでもワークショップとしては多いけど!(鷹野)   発行人:HON.jp   編集人:鷹野凌(HON.jp News Blog 編集長)   mail: honjp@aiajp.org   配信数:2656通   ***   このメールには返信できません。御意見や感想はウェブ版のコメント欄やおたより投稿フォームへどうぞ。   コメントする   この記事はSNS等でシェアできます。 facebookのシェアアイコン Xのシェアアイコン web記事へのリンクアイコン   いつもHON.jp メールマガジンをお読みいただきありがとうございます。   HON.jpは、ウェブメディア「HON.jp News Blog」や出版創作イベント「NovelJam」など、本(HON)のつくり手をエンパワーするさまざまな事業活動を非営利で行っています。この活動を継続・発展させるため、サポートメンバーを募集しています。   ぜひサポートメンバーに登録してご支援ください。月額800円です。なお、毎週月曜日に配信するメールマガジンは誰でも無料で閲覧できますが、theLetterではサポートメンバー限定記事も月1~2回くらい配信していく予定です。 登録する         theLetterのフッターロゴ ©2026 HON.jp メールマガジン コラボ企業・掲載媒体募集