HON.jp メールマガジン #365 2026年3月9日版 Subject: HON.jp メールマガジン #365 2026年3月9日版 From: HONjp 編集部 Date: 2026/03/09 6:00 To: honjp@aiajp.org HON.jp メールマガジン #365 2026年3月9日版 📖週刊出版ニュースまとめ&コラムや HON.jp からのお知らせなどをお届けします。 鷹野 凌 2026.03.09 お知らせ   3月18日(水)に開催される「Media Innovation Conference 2026」の14時20分からのセッション「『本を読めなくなった人たち』を読んで考える出版とマーケティング」に、著者の稲田豊史氏と、本の中に登場する菊地悟氏(KADOKAWA)とともに、編集長・鷹野が登壇します。参加費無料(事前登録制)でオンライン配信もあります。   https://media-innovation.jp/feature/conference2026/ 週刊出版ニュースまとめ&コラム #705(2026年3月1日~7日)   【写真】文禄堂 荻窪店 (photo by TAKANO Ryou) 【写真】文禄堂 荻窪店 (photo by TAKANO Ryou)    編集長の鷹野が、広い意味での出版に関連する最新ニュースから気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントします。HON.jp News Blog のウェブサイトでも同時に公開していますので、SNSでシェアいただく場合や、リンクを貼っていただく場合は、こちらのURLをご利用ください。   https://hon.jp/news/1.0/0/58577 【政治】 ◆ NHK 2026年度予算・事業計画案に対する見解|通信・放送|声明・見解〈日本新聞協会(2026年3月3日)〉   https://www.pressnet.or.jp/statement/broadcasting/260303_16159.html   日本新聞協会からNHKのインターネット業務について声明が出ています。   しかし、放送していないコンテンツを配信する事例が散見され、また配信期間も1週間が基本と自ら定めたルールと実態はかけ離れている。   つまりそれは、日本新聞協会としては「配信期間は1週間でも長い」ということでしょうか。うーん……まあ、NHK ONEが誰のせいで不便になっているかを、わざわざ自ら周知してくれている、と捉えましょうか。ちなみにウチの場合、アーカイブ性に重きを置いているため1週間で消されることが確定している記事を拾うわけにはいかず、NHKはドメイン指定でブロックしています。 ◆ 訪日客に「二重価格」国立博物館など導入へ 財務省、閉館も含め圧力〈朝日新聞(2026年3月5日)〉   https://www.asahi.com/articles/ASV352V2QV35UCVL010M.html   初報は3月4日付の読売新聞「国立博物館や美術館に収入目標、未達成なら閉館含め再編検討…30年度までに文化庁」で、出版とは直接関連しないため様子見していました。世間の批判は文化庁に向けられていましたが、この朝日新聞の記事で財務省の圧力だったことが明らかになっています。財務省絡みなら図書館や公文書館などにも違った形で飛び火する可能性があると判断、取り上げておくことにします。 ◆ 日本生命、米国でOpenAIを提訴 「ChatGPTが非弁行為」〈日本経済新聞(2026年3月6日)〉   https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN060800W6A300C2000000/   以前からリーガルテック系のサービスが「これ非弁行為では?」と言われたりするのをちょくちょく見かけましたが、とうとう訴訟に至る事例が。ChatGPTがトンチンカンなアドバイスをして、和解したはずの元受給者から再び訴えられ、日本生命に実害が出ているようです。まあ、どんどん訴えたらいいと思いますよ。日本でも。 【社会】 ◆ 小学館「マンガワン」、「フリーレン」「めぞん一刻」など読めない状態に 返金は「検討中」【追記あり】〈ITmedia NEWS(2026年3月2日)〉   https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2603/02/news085.html   小学館「マンガワン」問題は、2月末から3月頭にかけて毎日のように新たな話題が逐次投入され、いつまでも燃え続ける状態になっていました。こちらはそのうちのひとつで、「マンガワン」に転載されていた大御所の作品も読めなくなったという報道です。   記事内では触れられていませんが、実は多くの作品が「サンデーうぇぶり」ではまだ読めます。サンデー系ですから、編集部が違うのですよね。これら大御所が作家自身の判断で「マンガワン」への転載を止めたのか、それともサンデー編集部の判断で止めたのか、外部からは判断できません。   他にも、日本漫画家協会から声明が出たり、小学館漫画賞の贈賞式が延期になったり、「Oggi」主催のライブイベントが直前で中止されるなど、多大な影響が出ています。論考や解説なども大量に出ていますが、ここですべてを取り上げることはしません。 ◇ 小学館「マンガワン」、「アクタージュ」原作者も別名義で起用〈ITmedia NEWS(2026年3月2日)〉   https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2603/02/news118.html   しかしこれは別口で取り上げておくべきでしょう。週刊文春に暴露報道が出る直前に、自ら公開するパターンです。こちらは、執行猶予期間が満了したあとの起用ですから、係争中の事案とは似て非なる話でしょう。これがダメなら、犯罪者の社会復帰は認めないという話になってしまう。とにかくタイミングが悪い。   小学館はこれを受け、第三者委員会を設置して調査すると発表しました。ところがその翌日に、週刊文春の報道に対し「会社ぐるみでの関与はない」と釈明の声明を出しています。第三者委員会の調査がまだ始まってもいない段階で、現時点での会社としての認識を公表するのって、極めて悪手だと思うのですけどね……。 ◇ 作家の法的紛争に対する、マンガ編集者の関与禁止ルールを制定〈特定非営利活動法人LEGIKAのプレスリリース(2026年3月1日)〉   https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000047.000055034.html   関連して「トキワ荘プロジェクト」のLEGIKA(レジカ)から、こんなプレスリリースが出ています。   出版社等に在籍するマンガ編集者において、作家のプライベートな紛争に関して、編集者が作家本人に代わって法的交渉に関与する事例が散見されます。   固有名詞は挙げていませんが、間違いなく小学館・マンガワン編集部を念頭に置いた動きでしょう。編集者が示談に関与することのなにが問題なのか、一般論として丁寧にまとめられています。素早い。素晴らしい。 ◆ 「生成AIはむしろ仕事を増やす」──米UCバークレーの研究者が発表 AI依存は現場で何を引き起こす?:Innovative Tech(AI+)〈ITmedia AI+(2026年3月4日)〉   https://www.itmedia.co.jp/aiplus/articles/2603/04/news034.html   わはは。笑ってしまった。たとえば、デジタル広告クリエイティブの内製化が進んでいるという話がありますが、要するにそれって広告主の従業員がいままでより広範な仕事を求められるようになったということですもんね。   まあ、これはAIに限った話ではありませんが。みんなが携帯電話を持つようになったことで「いつでも連絡がとれる状態」になってしまい、プライベートの時間が仕事に侵食されている、とか。GPSで営業の動きを監視してサボれないようにする、とか。テクノロジーの進化は仕事を増やしています。 ◆ 同人誌即売会「コミティア」、生成AI作品を原則禁止 “表紙がAIイラストの文芸作品”も不可〈ITmedia AI+(2026年3月6日)〉   https://www.itmedia.co.jp/aiplus/articles/2603/06/news084.html   私は、自分自身で生成AIをそれなりに使っている立場ですが、この対応は理解できます。そもそもコミティアは「オリジナル作品だけの同人誌即売会」ですから、こういう対応になるのも自然でしょう。「表紙だけでもダメなのか」という反発の声もありますが、コミティア以外の即売会を利用すればいい話です。そこはすみ分けだと思うのですよね。 ◆ 劣悪なネット広告はメディアの自殺であり、ブランドの自傷行為だ(境治) - エキスパート〈Yahoo!ニュース(2026年3月6日)〉   https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/9cf2eee70511fa557268272b14caeae4696e56f5   Yahoo!ニュース エキスパートで「日本最大のニュースプラットフォームとしてYahoo!の責任を問う」と訴える境氏に、最大限の敬意を払います。週明けに消されないことを祈る。ちなみに、外部メディア向けのプラットフォーム(Yahoo! ディスプレイ広告:YDN)では、少なくとも半年前にはすでに全画面広告が出ていたのを私自身が確認していますので、武器商人としてのヤフーは前からやってたことを付言しておきます。 【経済】 ◆ メディアドゥ、米出版社を100億円超で買収 漫画人気テコに事業拡大〈日本経済新聞(2026年3月2日)〉   https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC280AC0Y6A220C2000000/   漫画の英訳には翻訳家の補助として自社で開発している人工知能(AI)を活用。現在は1冊5〜6カ月かかっている翻訳期間を約2カ月に短縮する。   この記述に少し「ん?」と思ったのですが、その後に出たメディアドゥのプレスリリースによるとAIで翻訳をするわけではないそうです。「翻訳した文章の管理をAIでアシストするツール」とのこと。しかし、翻訳期間が半分以下に短縮できるアシストツールって、どういう仕組みなんだろう? むしろそっちが気になります。   関係性開示:メディアドゥには、HON.jpの法人会員として事業活動を賛助いただいています。しかし、本欄のコメント記述は筆者の自由意志であり、対価を伴ったものではありません。忖度もしていません。 ◆ 紙の「ぴあ」復活 休刊から15年、「編集にAIを最大限活用」〈ITmedia NEWS(2026年3月3日)〉   https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2603/03/news074.html   あえて紙で復刊。しかし、編集工程にはAIをフル活用するそうです。「データベースからの自動組版」も導入するとのこと。私が勤め人だったころの情報誌の会社では、私の入社当時(20世紀の終わり)にはすでにデータベースからの自動組版が導入されていました。誌面の発売と同時にウェブへ展開されていたのが、すぐにウェブを先に出す形に変わっていったことを思い出します。紙とウェブのヒエラルキー逆転が、いま思うとめちゃくちゃ早かった。先駆的だったんだなあ。 ◆ 本屋ライター和氣正幸の【キラメク書店のヒラメク工夫】⑤ハウツー・イベント配信〈The Bunka News デジタル(2026年3月4日)〉   https://www.bunkanews.jp/article/455431/   そもそもイベントは、開催可能な場所を自前で持っていることがアドバンテージなんですよね。そこから配信への展開は、それほど難しくはないという認識です。ウチの場合、完全オンライン以外は場所を借りるしかありません。借りるコスト以外に、配信機材を持ち込み設置・撤収する労力も大きかったりします。イベントが終わるとヘトヘトになっちゃう。   ただ、地方でのイベント開催は、登壇者を呼びづらいのと、集客に苦労することなどが予想されます。ハイブリッドで登壇者だけ遠隔、みたいなやり方も考えられるかな? それはそれで大変でしょうけど。 ◆ 2025年日本の広告費が初の8兆円超えでネット広告も5割 動画広告は1兆円突破〈AdverTimes.(アドタイ) by 宣伝会議(2026年3月5日)〉   https://www.advertimes.com/20260305/article536274/   マスコミ四媒体が前年比98.4%なのを「ほぼ横ばいであった」と表現しています。というか、電通のプレスリリースがそう表現していました。「ラジオ」(同99.2%)と「テレビ」(同99.7%)は微減程度ですからまだしも、「新聞」(同91.8%)と「雑誌」(同96.3%)はけっこうキツイ減り方をしています。   とはいえ、問題はむしろインターネット広告費のほうでしょう。成長を続けて構成比が初の過半数超えという状況にも関わらず、「新聞デジタル」は同97.9%、「雑誌デジタル」は同96.5%です。つまり、全体が伸びている中で、「新聞デジタル」「雑誌デジタル」だけが減少傾向なのです。なぜ?   説明会では「AI検索の影響を注視していたが、実態として2025年時点での大きな影響はまだなかったのではないか」との見解が示されています。つまり電通は「ゼロクリック」問題を否定していることになります。ところがプレスリリースには「ユーザーのAI検索行動によるPV数の伸び悩みなどが影響」と書いてあります。なぜ? ◆ ゼロクリック時代、Webメディアに何が起きているのかーWeb指標一覧〈mizuho furuhata(2026年3月7日)〉   https://note.com/mizuho_furu/n/nb39922edfb1c   その「雑誌デジタル」に相当するウェブメディアの指標一覧が公表され、減少傾向の理由について古幡瑞穂氏が考察しています。個人的には、減少しているメディアのうちいくつかは、前掲の境治氏が指摘している「劣悪な広告体験」が悪影響を及ぼしている気がします。ここで名指しはしませんが、以前から何度も「あまりに酷い」と指摘しているメディアが、大きく数字を落としています。まあ、減少要因を外部から推測するのは難しいんですけどね。 【技術】 ◆ AI小説の現在地 〜品質と量産の間で〜〈新大宮@Web小説界隈ナビゲーター(2026年3月1日)〉   https://note.com/shin038/n/n5ec65e9f48b9   なるほど、詳細な世界設定をプロンプトで指示するのではなく、AIが参照できる外部資料として用意しておくわけですか。確かにそうすれば「前の指示を忘れる」みたいなポカは減らせそう。こういう方向での突き詰め方は、嫌いじゃないです。年鑑の編集に応用してみようかな。   ただねぇ……既存作品のそっくりフレーズを生成しちゃう可能性が否定できないから、AIに生成させた文章を自分で使うのは怖いです。自分の文章を要約させるなら良いんですけど。 ◆ 2026年3月4日 高見 真也 氏:電子書籍フォーマット「EPUB 3」の再始動と最新動向〈日本電子出版協会(2026年3月4日)〉   https://www.jepa.or.jp/sem/20260304/   ライブで拝聴しました。EPUBフォーマットの歴史と今後が概観できます。ちょいちょい挿入されていた「閑話」(つまり裏話)が面白かったです。まさか緊デジの話が出てくるとは。そういえば、高見氏と初めてお会いしたのはまだ楽天所属時代でした。懐かしい。   ***   本稿はクリエイティブ・コモンズ 表示 - 非営利 - 継承 4.0 国際(CC BY-NC-SA 4.0)ライセンスのもとに提供されています。営利目的で利用される場合はご一報ください。   https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja その他のお知らせ Readers   HON.jp News Blog をもっと楽しく便利に活用するための登録ユーザー制度「Readers」を開始しました。ユーザー登録すると、HONꓸjp News Blogの記事にコメントできるようになったり、更新通知が届いたり、広告が非表示になったりします。詳しくは、こちらの案内ページをご確認ください。   https://hon.jp/news/readers 日刊出版ニュースまとめ   伝統的な取次&書店流通の商業出版からインターネットを活用したデジタルパブリッシングまで、広い意味での出版に関連する最新ニュースをメディアを問わずキュレーション。FacebookページやX(旧Twitter)などでは随時配信、このコーナーでは1日1回ヘッドラインをお届けします。   https://hon.jp/news/daily-news-summary HON.jp について   HON.jpは、本(HON)のつくり手をエンパワーする非営利団体です。「HON.jp News Blog」などのメディア事業、出版創作イベント「NovelJam」やセミナー・カンファレンスなどのイベント事業、「HON.jp Books」などの出版事業を行っています。事業収入だけでこれらの活動を継続するのは難しく、会費や寄付などみなさまのご支援が不可欠です。会員は随時募集中でさまざまな特典もご用意しています。さらなるご支援をお願いいたします。 入会案内   https://www.aiajp.org/application 寄付のご案内   https://www.aiajp.org/donation 広告掲載のご案内   https://hon.jp/news/ad 雑記   先週、暖かかったのでここに「ほんとうに2月か?」と書いたら、翌日からまた急に寒くなりました。寒の戻りというやつでしょうか。予報では今週もまた寒くなるようです。ぶるぶる。(鷹野)   発行人:HON.jp   編集人:鷹野凌(HON.jp News Blog 編集長)   mail: honjp@aiajp.org   配信数:2610通 この記事はSNS等でシェアできます。 facebookのシェアアイコン Xのシェアアイコン web記事へのリンクアイコン   いつもHON.jp メールマガジンをお読みいただきありがとうございます。   HON.jpは、ウェブメディア「HON.jp News Blog」や出版創作イベント「NovelJam」など、本(HON)のつくり手をエンパワーするさまざまな事業活動を非営利で行っています。この活動を継続・発展させるため、サポートメンバーを募集しています。   ぜひサポートメンバーに登録してご支援ください。月額800円です。なお、毎週月曜日に配信するメールマガジンは誰でも無料で閲覧できますが、theLetterではサポートメンバー限定記事も月2回くらい配信していく予定です。 登録する         theLetterのフッターロゴ ©2026 HON.jp メールマガジン コラボ企業・掲載媒体募集