HON.jp メールマガジン #345 2025年10月13日版 Subject: HON.jp メールマガジン #345 2025年10月13日版 From: HON.jp編集部 Date: 2025/10/13 6:01 To: honjp@aiajp.org 📖週刊出版ニュースまとめ&コラムやHON.jpからのお知らせなどをお届けします。 HON.jpロゴ HON.jp メールマガジン #345 2025年10月13日版 【自社広告】 あなたが読み終えた本を、本(HON)のつくり手をエンパワーメントする活動の力にできます。古本で寄付する仕組み「チャリボン」をぜひご活用ください。 https://www.charibon.jp/partner/hon-jp/ 週刊出版ニュースまとめ&コラム #685(2025年10月5日~11日) 【写真】神田古書センター  編集長の鷹野が、広い意味での出版に関連する最新ニュースから気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントします。同じ内容を HON.jp News Blog のウェブサイトでも同時に公開していますので、SNSでシェアいただく場合や、リンクを貼っていただく場合は、こちらのURLをご利用ください。 https://hon.jp/news/1.0/0/56674    先週は多忙につき、やや縮小版でお届けします。   【政治】   ◆ ツイートは「著作物」、地裁がスクショ無断転載に賠償命令 過去には控訴審で“引用”焦点の逆転も〈ITmedia NEWS(2025年10月10日)〉 https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2510/10/news097.html    反響を見ていると、この判決が意外だと思う方もそれなりにいらっしゃるようです。どういう投稿が転載されていたのか不明なのですが、著作物として認められるかどうかは内容によりますし、引用として認められるかどうかもケースバイケースですから、それほど不思議ではないと思います。   【社会】   ◆ 「MAGAZINE(マガジン)」と一線を画すニッチな冊子「ZINE(ジン)」が人気 出版界の希望に〈FNNプライムオンライン(2025年10月5日)〉 https://www.fnn.jp/articles/-/941227    うーん……ZINEを「出版界の希望」とか「出版業界の救世主」などと言ってしまうのは、どうなんだろう? ZINEの定義は「出版社を通さず、個人が自由に、自費で作った冊子」なのですよね? ならば、少なくとも直接的には出版社や取次の希望にはならないですよね。個人と取引している書店にとっては、新たな商材のひとつとして捉えることも可能でしょうけど。でも個人制作の冊子が大量に売れるようなこともめったにないだろうし、商業出版以上に書店の目利き力が強く問われますよね。いずれにしても、そんな簡単な話じゃないはずです。   ◆ ディズニー、OpenAIの動画AI「Sora」にコンテンツ使用不許可を通告〈日本経済新聞(2025年10月7日)〉 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN06C1W0W5A001C2000000/    周囲で利用している方々からディズニー系は初めから出力できなかったと伺っていましたが、やはりそういう制御が行われていたようです。ディズニー強し。アメリカだとむしろフェアユースで通りそうですが、ディズニーからはよほど強い圧力があったのでしょう。    他方、日本には著作権法第30条の4がありますが、これはもう「非享受目的」要件を満たさないケースに該当するのでは、という気がしています。「Sora」をSNSにしたことや、アルトマンが言う「インタラクティブファンフィクション」などから、「利用者に享受させる目的」で学習させているとしか思えません。    仮に生成・利用段階でしっかりフィルタリングしてあっても、学習・開発段階(=学習用データの収集)で著作権法第30条の4が適用されない可能性があるように思います。   ◇ 日本は舐められている――生成AI「Sora 2」のアニメ「ただ乗り」(Weeklyアニメビジネス)(まつもとあつし) - エキスパート〈Yahoo!ニュース(2025年10月5日)〉 https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/9bd5e76fd23ccc7f33f1fd292bf7e75358d0e064    ええ、完全に舐められてますよね。「どうせすぐに訴えてくることはない」って思われてる。   ◆ 他人の写真を参考に描くのはNG? 江口寿史さん「トレパク」疑惑から考える著作権と肖像権問題…福井健策弁護士が解説〈弁護士ドットコム(2025年10月8日)〉 https://www.bengo4.com/c_23/n_19467/    一般論としての解説ですが、まっさきに「(1)写真家の著作権」を挙げているところが、さすが福井健策氏だと思いました。本件に限らず、誰かが撮った写真を無断で二次利用する(トレースや生成AIに加工させるような場合でも)ケースにおいて、写真を撮った人に著作権が発生しているという前提がすっ飛んでいる方が多いように思うのですよね。   ◇ 江口寿史先生問題の著作権的視点からの考察(栗原潔) - エキスパート〈Yahoo!ニュース(2025年10月6日)〉 https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/b4c9bc27d6c1669efc7890cfe1084ad0add19162    栗原潔氏は「今回のケースで問題ではないかとX等で指摘されている作品の中で、著作権的に問題になりそうなイラストはないように思えます」とのご意見です。うーん、そうだろうか。否定された事例は、地裁判決止まりのようです。2.6センチ四方程度のイラストであるうえ「本件写真素材にはない薄い白い線」が挿入されたことなどにより「表現上の本質的な特徴が直接感得できない」という判断になっています。今回のような、客観的に見てモロに利用しているような場合は、裁判所の判断も変わりそうな気がします。まあ、実際に裁判になって判決が出ないと、わからないですね。   【経済】   ◆ 「『週刊少年ジャンプ』を、倒すと決めた」 デジタルマンガ誌「少年ジャンプ+」がオリジナル作品にこだわる理由〈Japan Innovation Review powered by JBpress(2025年10月6日)〉 https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/90885   「週刊少年ジャンプ」(以下、「少年ジャンプ」)を擁する集英社が2014年9月に他の出版社に先駆けて創刊したデジタルマンガ誌「少年ジャンプ+」(以下、「ジャンプ+」)。    これは記事の冒頭に書かれた導入文からの引用で、集英社の方の発言ではありません。念のため。つまりこれは記事を書いた方がそう認識しているということなのでしょう。しかし「少年ジャンプ+」は「他の出版社に先駆けて」はいません。たとえば、スクエニ「ガンガンONLINE」は2008年10月、小学館「裏サンデー」は2012年4月、KADOKAWA「ComicWalker」は2014年3月の創刊です。「少年ジャンプ+」が強いのは確かなんですけどね。   ◆ note、純利益340%増で好調 通期業績を上方修正 「生成AIでクリエイターとコンテンツが増加中」〈ITmedia NEWS(2025年10月7日)〉 https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2510/07/news113.html    おお、素晴らしい。2024年11月期に初の黒字化を達成しましたが、その後もしっかり利益が出るようになっているようです。。反響で「ゴミだらけになる」といった揶揄も目にしますが、ゴミは埋もれるだけになる可能性も高いのですよね。まあ、人の書いた文章も凡庸なものは埋もれますが。   ◆ 1400の書店と本の総合情報アプリ「本コレ」〈Impress Watch(2025年10月8日)〉 https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/2053533.html    「TSUTAYAアプリ」がリニューアルして、オープン戦略に転換しました。出資している大手出版社はもちろんですが、書店もかなりの数が連携しているのはすごい。さっそくスマホに入れてみましたが、在庫検索は「書店との在庫データ連携が整い次第提供予定」とのこと。まだこれからという感じですね。   ◆ 受け入れられ始める AI 使用の広告 米エージェンシー幹部らの期待と懸念は〈DIGIDAY[日本版](2025年10月9日)〉 https://digiday.jp/agencies/the-red-line-keeps-moving-advertising-creatives-have-lost-the-ai-ick/    契約していないのでペイウォールの向こう側が読めていないのですが、冒頭のサマリーによると、AI広告の効果は非AI広告と大差ないとのこと。画像や動画はなんとなく「これはAI製だな」とわかりますが、もうウェブ広告では見慣れてしまった感があります。サイバーエージェントがインターネット広告事業で減収減益になったのは、大手クライアントのクリエイティブ内製化が要因という話もありました。そりゃ、効果が変わらないなら、自前で作ってコスト削減しますよね。   ◆ Libraries Look to Fill the Gap Left by Baker & Taylor(図書館はベーカー&テイラーが残した空白を埋めようとしている)〈Publishers Weekly(2025年10月9日)〉 https://www.publishersweekly.com/pw/by-topic/industry-news/libraries/article/98808-libraries-look-to-fill-the-gap-left-by-baker-taylor.html    「おー、なんか大変なことが起きてるなー」と対岸の火事だったのですが、「Amazon Business Books for Libraries」が6月時点ですでに(ひっそりと)始まっていたという記述にはびっくり。初耳でした。古幡瑞穂氏の解説が詳しいです。日本でもいずれ始まるかしら。TRCとのサービス競争になると良いかも?(良いのか?)   【技術】   ◆ AI検索時代に求められるWebコンテンツとは?今後のオウンドメディア戦略を考える〈MarkeZine(2025年10月6日)〉 https://markezine.jp/article/detail/49874   日々、新しい技術やツールが登場しているものの、我々がやるべきことはシンプルで、「ユーザーの役に立つコンテンツを作ること」なのです。    じつに正しい。逆に、小手先のテクニックとかアルゴリズムのハックで表示順位を上げるみたいなSEOをやっていたところは、苦しくなると思います。 よかったらこの記事をシェアしてください! Xでシェア Facebookでシェア Mastodonでシェア Blueskyでシェア 【雑記】  いま、NovelJam 2025の東京会場でこの原稿を書いています。今日は2日目。明日には電子本が完成して出版されます。みんな、がんばれ!(鷹野) 本稿は CC BY-NC-SA 4.0でライセンスされています。転送歓迎。ウェブなどへ転載する際は、HON.jp メールマガジンが出典であることを表記するのと同時に、HON.jp News Blogへのリンクを張っていただけると嬉しいです。 https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja NPO法人HON.jpは、本(HON)のつくり手をエンパワーする非営利団体です。「HON.jp News Blog」などのメディア事業、「HON.jp Books」などの出版事業、セミナー・カンファレンス・出版創作イベント「NovelJam」などのイベント事業を行っています。   事業収入だけでこれらの活動を継続するのは難しく、会費や寄付などみなさまのご支援が不可欠です。会員は随時募集中でさまざまな特典もご用意しています。さらなるご支援をお願いいたします。   ◆ 入会案内 https://www.aiajp.org/application ◆ 寄付のご案内 https://www.aiajp.org/donation ◆ 広告掲載のご案内 https://hon.jp/news/ad 発行人:NPO法人HON.jp 編集人:HON.jp News Blog編集長 鷹野凌 mail: honjp@aiajp.org 配信数:2560通 このメールマガジンは、HON.jp からのお知らせや、HON.jp News Blog 編集長 鷹野凌による「週刊ニュースまとめ&コラム」などを、原則、毎週月曜日の朝に配信しています。配信対象は、HON.jp News Blog から購読を申し込まれた方々と、これまで HON.jp とご縁があった方々です。   配信には Benchmark Email を利用しています。メール内のリンクはすべて bmetrack.com のサブドメインに自動変換されています。これは、Benchmark Email のシステムが開封率やクリック率などを計測しているためです。計測後、本来のURLへ自動転送されます。   不要な場合はお手数ですが、末尾の「配信停止」からお手続きください。 フォローして最新情報をチェック! 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