HON.jp メールマガジン #300 2024年10月28日版 Subject: HON.jp メールマガジン #300 2024年10月28日版 From: HON.jp編集部 Date: 2024/10/28 6:02 To: honjp@aiajp.org 📚週刊出版ニュースまとめ&コラムやHON.jpからのお知らせなどをお届けします。 HON.jpロゴ HON.jp メールマガジン #300 2024年10月28日版  本稿を執筆しているのは、衆議院選挙の投票日です。「選挙のお知らせ」が部屋の中で行方不明になってしまったのですが、なくても投票できると聞いていたので午前中に行ってきました。受付で手になにも持たず「あの、」と言った瞬間「こちらへどうぞ」と後ろへ案内されました。慣れてる感じ。無事、投票できましたよ!(鷹野) 【自社広告】 10月31まで販売! デジタル・パブリッシングの可能性と課題について議論するオープンカンファレンス「HON-CF(ホンカンファ)2024」の映像アーカイブがご覧いただけるリモートチケット・学割チケットは、下記URL(Zoom Events)よりご購入ください。 https://events.zoom.us/ev/AgOmQJBImCMtPHID7bcXk1lUdrJT_mOmzCqj4oxXkORyY-dT4oFY~Aggi4bhfWMxNb-RRcBdhJcok4zQ8TPMRBDLVWk7JtEB624owo_TAhQAX8A 週刊出版ニュースまとめ&コラム #640(2024年10月20日~26日) 明屋書店 中野ブロードウェイ店  編集長の鷹野が、広い意味での出版に関連する最新ニュースから気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントします。同じ内容を HON.jp News Blog のウェブサイトでも公開していますので、SNSでシェアいただく場合や、リンクを貼っていただく場合は、こちらのURLをご利用ください。 https://hon.jp/news/1.0/0/52530   【政治】 ◆ 米国出版協会(AAP)、生成AIの学習のために創作物を無許諾で使用することに反対するオンライン署名活動に賛同を表明〈カレントアウェアネス・ポータル(2024年10月24日)〉 https://current.ndl.go.jp/car/228723  この数日前に、ペンギンランダムハウスが書籍の著作権ページにAI警告を追加したというニュースがありました。こうして意思表示をしておくことにより、今後の訴訟に備えるという意味もあるのでしょう。まあ、アメリカは訴訟社会ですからね。AI学習がフェアユースか否かは、裁判で判断されることになります。  日本の場合、本欄でも何度もお伝えしてきたように、著作権法第30条4によりAI学習(思想又は感情の享受を目的としない利用)は原則、無断でできます。問題は「AI学習禁止」と書いてあった場合に、法律の権利制限規定より契約が優先されてしまうような「オーバーライド(上書き)条項」が有効なのかどうかが現時点では不明なところ、でしょうか。 ◆ VTuber事務所運営のカバーに公取委が勧告 クリエイターと不当取引〈日本経済新聞(2024年10月25日)〉 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE243230U4A021C2000000/  下請事業者にリテイクを無償で計243回やらせていたということで、違反認定されました。これ、現段階では下請法だから親事業者・下請事業者の資本金要件がありますけど、11月1日から施行のフリーランス法には資本金要件がありませんからね。とくにいままで対象外だった資本金1000万円以下の中小出版社も規制対象です。要注意ですよ! 【社会】 ◆ 書き手にとって編集者は教師? ママ? それとも敵? NovelJam関係者が語り合う【HON-CF2024レポート】〈HON.jp News Blog(2024年10月22日)〉 https://hon.jp/news/1.0/0/52470  出版ジャーナリストの成相裕幸氏にレポートいただきました。編集者は著者にとってどういう存在であるべきか? きっと人によって最適解は変わるのでしょうけど、どうあるべきか? は自らに問い続けたい。 ◆ 記者の目:ネット上あふれる「エロ広告」 社会全体で対応策議論を=町野幸(経済部)〈毎日新聞(2024年10月25日)〉 https://mainichi.jp/articles/20241025/ddm/012/070/096000c  こういう過激な広告って、おおむねゲームか電子コミック系ですよね。目を引きやすいよう「わいせつ」と判断されないラインギリギリを狙ったクリエイティブをちょくちょく見かけます。「業界のガイドライン策定など一定の規律作りに乗り出すべきだ」と言われちゃってますねぇ……。うーむ。 ◆ フィクションの中のセリフが人と社会を傷つけるとき ― 漫画「島耕作」問題を考える(志田陽子) - エキスパート〈Yahoo!ニュース(2024年10月22日)〉 https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/3b4071a178cc5f3ff72c54acbcee12c235580ce5 ◇ 漫画「島耕作」における「日当」表現 何が問題だったか――当事者性の観点から(志田陽子) - エキスパート〈Yahoo!ニュース(2024年10月24日)〉 https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/a8ff520d90d96d733dbc3e4145bc2744b9e10762 ◇ 「島耕作」における「日当アルバイト」発言を、民主主義のプロセスから考える(志田陽子) - エキスパート〈Yahoo!ニュース(2024年10月25日)〉 https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/52d84731fb9eb764c8a8bc88aa2f96b641112533 ◇ 不適切表現において修復すべきものと塞ぐべきでないもの――漫画「島耕作」問題の教訓をどこに見るか(志田陽子) - エキスパート〈Yahoo!ニュース(2024年10月25日)〉 https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/e0e61a19fd20a59916014df9ec7fc999d42edfd9  志田陽子氏(武蔵野美術大学教授)による長文論考。どれもおっしゃる通り。もう、さすがの一言です。ちなみに連投に見えるのは「必要な論点をカットせずに書いていったら2万字の論説になってしまったので、5000文字ずつに区切ってテーマごとに分けて投稿しているから」だそうです。  さまざまな論点がありますが、私は最後の「塞ぐべきでないもの」が最も重要だと感じました。「このテーマを扱うと燃えるから触れないでおこう」みたいにテーマで塞いでしまうことは、あってはならないと思います。  あと、志田氏に対し「漫画のことなどで法学者が目くじらを立てて、執拗に何本も投稿するとは大人げない」という趣旨の意見や助言がいくつかあったとのこと。私がこんなこと言われたら、その場で「大人げないと思われても結構です」と言い返してしまいそう。「漫画のことなどで」などと特定ジャンルを蔑み軽んじるような意見に耳を貸す必要はないでしょう。 ◆ 「AIゴーストライター」が侵食する創作市場 編集委員 瀬川奈都子〈日本経済新聞(2024年10月25日)〉 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCD17A1Y0X11C24A0000000/  デジタル出版の領域で言えば、たとえば「Kindle Unlimited」がAI美女写真集だらけになっている、みたいな状況の話です。HON-CF2023著作権セッションのレポートにも書きましたが、こうした生成AIによる「情報量の爆発的な増大」は決して想定外ではなく、予想されていた未来なんですよね。  とはいえ「あー、こういう事態が起きるのか」という驚きはありますが。基本なんでもありの投稿サイトなら大きな問題にはならないでしょうけど、作品を審査するコンテストなんかだと量に圧倒されゲートキーパーが機能不全になってしまう可能性を考慮しなければならないわけですよね。頭痛い。 【経済】 ◆ 「異世界居酒屋『のぶ』」マンガ担当のヴァージニア二等兵氏、最新19巻に特典がつかないことを明言〈MANGA Watch(2024年10月21日)〉 https://manga.watch.impress.co.jp/docs/news/1633205.html  直接的には本件がきっかけでしょうか。マンガ単行本の表紙絵にギャラが出ない(印税に含まれている扱い)問題について、『はじめの一歩』の著者・森川ジョージ氏や『映像研には手を出すな!』の著者・大童澄瞳氏などを中心に議論が起きています。  ちなみにヴァージニア二等兵氏はその後、編集長と話し合って「全て納得する形で解決」したそうです。「約束を反故にされたという言い方は過剰でした」ともあり、当該発言はすでに削除されています(MANGA Watchの記事には残骸が残っています)。うーん……論評は控えます。 ◆ 市販No.1のビジネス経済誌『週刊ダイヤモンド』が「サブスク雑誌」として30年ぶりの大幅リニューアル!〈株式会社ダイヤモンド社のプレスリリース(2024年10月22日)〉 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000264.000045710.html  「サブスク雑誌」がなにを意味するのか明示はされてませんが、要するに「取次・書店ルートを飛ばします宣言」ということになるのでしょうか? 「日経ビジネス」や「ハルメク」のような先行事例もあります。デジタル有料会員が4.3万人と、すでに収益の大きな柱になっているから思い切った手が打てるというのもあるでしょう。自社で直接やるのか、あるいは、Fujisan.co.jpで販売するのか。書籍は引き続き取次・書店ルートを使うから大きな問題にはならない? など、さまざまなことを考えさせられました。 ◆ ウェブメディアで氾濫する「変な広告」の正体…なぜ記事を読みたいのに動画を視聴させられるのか「このままだと、ヤバい」〈集英社オンライン(2024年10月22日)〉 https://shueisha.online/articles/-/251880  この記事は鈴木聖也著『最近のウェブ、広告で読みにくくないですか?』(星海社)からの抜粋・再構成なのですが、記事内で批判されている「ページネーション」「フルスクリーン広告」「動画視聴を強いられるリワード広告」のオンパレードで、自虐かな? と思いました。  もしかしたら集英社オンライン編集部の方も、書かれている内容には同意しつつ、稼がなければいけないからツッコミが入るのはわかった上であえてやっているんでしょうか。そしてその目論見通り、私含め相当数のツッコミが観測され、そこそこ話題になっていました。  現状、インターネット広告は嫌われすぎて、無料で閲覧するユーザーへの罰みたいになってますよね。恐らく次のステップは、YouTube Premiumみたいに「お金を払うと広告が出なくなる」方向でしょう。ちなみにHON.jp News Blogは、ユーザー登録(無料)するだけで広告が出なくなります。まあ、そもそも運用型広告を止めてますから、不快な広告は出ませんけどね。 ◆ 朝日出版社「経営陣全員クビ」 M&Aでトラブル、労組はスト権確立〈朝日新聞デジタル(2024年10月22日)〉 https://www.asahi.com/articles/ASSBP3FHHSBPULFA003M.html  朝日出版社でM&Aのトラブル。先週の時点で社告や労働組合からのお知らせは確認していましたが、第三者からの報道待ちで取り上げるのは控えていました。オーナー経営者(創業者)が遺族とは長く別居状態だったうえ、遺書を残さず亡くなっているとのこと。つまりこれは「後継者問題」ということなのでしょう。  hiroyama氏のnoteがわかりやすかったのですが、遺族からすると喫緊の問題として「相続税」があるため、急いで買い手を見つける必要があったと。最初に提示された額が安すぎた、とか、印刷会社による10億円での買収提案が蹴られた、といったあたりは「急ぐ必要があったから」で説明がつくように思います。  他にも、新役員が会社に来ないといった不可解な部分もありますが、遺族やFA・買い手の声が出てこない以上、外部からはなんとも判断できない部分ではあります。ここから得られる教訓は、オーナー経営者は後継者問題を早めに片付けておこう、でしょう。 ◆ 【詳報】第77回新聞大会 研究座談会 パネルディスカッション第1部「新聞は生き残れるか」〈The Bunka News デジタル(2024年10月24日)〉 https://www.bunkanews.jp/article/397644/ 若い人たちにとって「ネットフリックス」が月1000円前後で見られるのに、新聞の毎月4000円以上の購読料は高すぎると感じるのではないか  この発言には首を傾げてしまいました。朝日新聞デジタルのベーシックコース(紙なし)は月額税込980円で有料記事が月50本まで読めます。私はこれを契約してますけど、毎月50本まで使い切ったことはないです。充分。また、毎日新聞デジタルのスタンダードコース(紙なし)は月額税込1078円で、こちらに本数縛りはありません。  購読料の高さだけが問題なら、これらの契約がドーンと伸びていても良いと思うのです。でも、そういう景気の良い話は聞こえてきていません。つまり購読料だけの問題ではない、ということです。まあ、紙とセットでしか契約できない読売新聞や産経新聞は、「紙なし」で契約したいユーザーを排除している時点で論外ですが。 【技術】 ◆ 「Facebook」などで著名人かたる詐欺広告、Metaの新たな対策は「顔認識」〈CNET Japan(2024年10月22日)〉 https://japan.cnet.com/article/35225175/  「あれ? Facebookって以前から顔認識システム持ってなかったっけ?」と思って調べてみたら、2021年11月の「顔認識の利用を中止へ」という記事が掘り出せました。以前は勝手にタグ付けされ、しかも別人みたいなことがよくありました。今回のこれも、きっとまた誤BANが出たりするんでしょう。 ◆ グーグル検索のトップが交代、新トップは収益増加よりもUX改善を優先?【SEO情報まとめ】 | 海外&国内SEO情報ウォッチ〈Web担当者Forum(2024年10月25日)〉 https://webtan.impress.co.jp/e/2024/10/25/47980  「あれ? 検索部門のトップって『Google検索を殺した男』などと批判されてた人?」と思ったら、ズバリその人でした。表記が「プラバッカー・ラガバン」と「プラバカール・ラガバン」で微妙に違いますが、日本語化(カタカナ表記)する際に揺れただけでしょう。  「Google検索を殺した男」では、Googleがメタクソ化した要因として「Googleの全盛期を支えた古参Googlerであるベン・ゴームズが、コンピュータサイエンティストからマネージャーに転身したプラバカール・ラガバンとの闘争に敗れた」ことが挙げられていました。  ところが新任トップのニック・フォックス氏は「特にユーザー体験の向上を重視してきた人物」なのだそうです。これは良いほうに変わることが期待できそうです。 よかったらこの記事をシェアしてください! Xでシェア Facebookでシェア Mastodonでシェア Blueskyでシェア 本稿は CC BY-NC-SA 4.0でライセンスされています。転送歓迎。ウェブなどへ転載する際は、HON.jp メールマガジンが出典であることを表記するのと同時に、HON.jp News Blogへのリンクを張っていただけると嬉しいです。 https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja NPO法人HON.jpは、本(HON)のつくり手をエンパワーする非営利団体です。「HON.jp News Blog」などのメディア事業、「HON.jp Books」などの出版事業、セミナー・カンファレンス・出版創作イベント「NovelJam」などのイベント事業を行っています。   事業収入だけでこれらの活動を継続するのは難しく、会費や寄付などみなさまのご支援が不可欠です。会員は随時募集中でさまざまな特典もご用意しています。さらなるご支援をお願いいたします。   ◆ 入会案内 https://www.aiajp.org/application ◆ 寄付のご案内 https://www.aiajp.org/donation ◆ 広告掲載のご案内 https://hon.jp/news/ad 発行人:NPO法人HON.jp 編集人:HON.jp News Blog編集長 鷹野凌 mail: honjp@aiajp.org 配信数:2554通 このメールマガジンは、HON.jp からのお知らせや、HON.jp News Blog 編集長 鷹野凌による「週刊ニュースまとめ&コラム」などを、原則、毎週月曜日の朝に配信しています。配信対象は、HON.jp News Blog から購読を申し込まれた方々と、これまで HON.jp とご縁があった方々です。   配信には Benchmark Email を利用しています。メール内のリンクはすべて bmetrack.com のサブドメインに自動変換されています。これは、Benchmark Email のシステムが開封率やクリック率などを計測しているためです。計測後、本来のURLへ自動転送されます。   不要な場合はお手数ですが、末尾の「配信停止」からお手続きください。 フォローして最新情報をチェック! 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