Subject: HON.jp メールマガジン #179 2022年5月9日版 From: HON.jp編集部 Date: 2022/05/09 6:02 To: honjp@aiajp.org 📕 週刊出版ニュースまとめ&コラムやHON.jpからのお知らせなどをお届けします。 HON.jpロゴマーク HON.jp メールマガジン #179 2022年5月9日版 ISSN 2436-8245  5月9日は、旧ソビエトが第2次世界大戦でナチス・ドイツに勝利した「戦勝記念日」だそうです。ロシアはウクライナへの侵略を「特別軍事作戦」と称していますが、この日に合わせ宣戦布告するかもという観測が流れています。やめてくれ! とにかく戦争反対!(鷹野) 【自社広告】 HON.jp News Blog をもっと楽しく便利に活用するためのユーザー制度「Readers」を始めました。誰でも無料で登録できて、ちょっとお得な特典があります。詳しくはこちらの案内をご覧ください。 https://hon.jp/news/readers 週刊出版ニュースまとめ&コラム #520(2022年4月24日~5月7日) 波多野書店  編集長の鷹野が、広い意味での出版に関連する最新ニュースから気になるものをピックアップし、独自の視点でコメントします。同じ内容を HON.jp News Blog のウェブサイトでも公開していますので、TwitterやFacebookなどでシェアいただく場合や、リンクを貼っていただく場合は、こちらのURLをご利用ください。 https://hon.jp/news/1.0/0/33674 【政治】 ◆ 漫画やアニメなどの海賊版サイト対策 国際連携を図る組織設立〈NHK | IT・ネット(2022年4月26日)〉 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220426/k10013599811000.html  年始に、4月創設予定と報じられていた「国際海賊版対策機構(IAPO:The International Anti-Piracy Organization)」が、予定通り設立されました。CODAのリリースを確認しましたが特筆すべきことは書かれていないので、#504 でお伝えした通りの座組みで船出となったものと思われます。これで、越境海賊版対策の国際連携と国際執行強化が図られていくことになります。善哉。 https://hon.jp/news/1.0/0/32057 ◆ 知的財産戦略本部 構想委員会 コンテンツ戦略ワーキンググループ(第1回) 議事次第〈知的財産戦略本部(2022年4月27日)〉 https://www.kantei.go.jp/jp/singi/titeki2/contents_wg/dai1/gijisidai.html  資料2「デジタル時代のコンテンツ」戦略の方向性と課題の整理が実に面白い。「メタバースやWeb3.0等の新技術による変革の波が更なる構造変化をもたらしていくこと」を眼前の問題として捉えつつ、ツッコミを入れられないよう細心の注意を払っている様子が伺えます。  たとえばWeb3.0は、「パブリック・ブロックチェーン技術を基盤とした自律分散型ネットワークによってもたらされる次世代のインターネット概念」と定義しています。私は #519 で日経の記事に対し「プライベートチェーンは中央集権的な管理者が存在するシステム」だとツッコミを入れましたが、この定義なら「プライベートチェーンはWeb3.0ではない」と断じることができるわけです。わはは。 https://hon.jp/news/1.0/0/33587  NFTについては、「デジタルコンテンツに資産としての保有感に基づく価値を与え」とか「デジタルコンテンツに疑似的な唯一性を付与」などと、世間一般で喧伝されているような言い回しを巧みに避けています。これなら地に足を付けた議論ができるのではないかと期待できます。実に良い。 ◆ インボイス制度への対応で大変だと思うこと第1位は「仕入先との取引関係の見直し」~ラクス調査〈INTERNET Watch(2022年4月28日)〉 https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1406487.html ◇ 実務目線で見たインボイス制度の問題点〈一般社団法人 東京法人会連合会(2022年5月2日)〉 https://www.tohoren.or.jp/taxinfo/2022050215174.html ◇ インボイス制度、フリーランス・自営業の半数が「知らない」と回答〈マイナビニュース(2022年5月2日)〉 https://news.mynavi.jp/article/20220502-2330335/  インボイス制度関連のニュースが連発しています。ラクス調査では「業務量が増える」と回答した経理担当者は6割程度とのことですが、いままでは適格請求書かどうかを確認する作業なんて必要なかったわけですから、事務処理コストが増えるのは確実でしょう。仕入先が適格請求書発行事業者であるかどうかで取引関係を見直すとの回答は約3割ですが、これも実際に稼働したらもっと多くなるでしょう。私の場合、個人事業主として受注する側と、NPO法人として発注する側の、両方の経理処理を1人でやってますので、ダブルで頭が痛い。事務処理が増えて生産性が落ちるのと同時に、収入も減る可能性が高いわけです。いやあ、マジでヤバイ。 【社会】 ◆ ユーザー生成コンテンツはいきなり世に出てユーザーから直接評価を受ける〈HON.jp News Blog(2022年4月27日)〉 https://hon.jp/news/1.0/0/33602  デジタル出版論の連載。やはり「インターネット」は概略だけでも、コンテンツ・パブリッシングに絞っても、さすがに1回では収まりませんでした。あとは「プラットフォーム支配」と「有料配信」の話をするつもりですが、そろそろけりを付けて「詳しくは第3章で」としたほうがいいかも。 【経済】 ◆ Amazonもついに……Android版のAmazonショッピングアプリ、Kindle本の購入が不可能に【やじうまWatch】〈INTERNET Watch(2022年4月25日)〉 https://internet.watch.impress.co.jp/docs/yajiuma/1405314.html ◇ 米Amazon、「Androidアプリ内でKindle本が買えなくなったのはGoogleが手数料を取るから」と説明〈GetNavi web ゲットナビ(2022年5月5日)〉 https://getnavi.jp/digital/737004/  Google Play決済のルール厳格化は、Amazonも例外ではありませんでした。#515 でも触れましたが、私が把握しているだけでも「BOOK☆WALKER」「ブックライブ」「Kinoppy」などのAndroidアプリ内決済が、不便な方向への変更を余儀なくされています。このルール厳格化が、Epic Games対Appleの訴訟開始直後に行われ始めたというのが、なんとも解せないところ。Appleと同様の措置をとれば、Appleと同様に目を付けられるだけなのに。結果的に後退することになったとしても、厳格化する前より有利な立場になれる、という判断だったのでしょうか。いやあ、解せない。 https://hon.jp/news/1.0/0/32914 ◆ dマガジンのアプリがAmazon「Fireタブレット」に対応する理由――「電子雑誌」読み放題サービスの現在とこれから〈HON.jp News Blog(2022年4月28日)〉 https://hon.jp/news/1.0/0/33613  おなじみ、ITジャーナリストの西田宗千佳さんに取材・執筆いただきました。冒頭にも念のため記しておきましたが、編集記事です。いわゆる「レ点商法」をやめてから会員数が漸減しているわけですが、挽回策の一つとして「普及率が高く画面の大きいタブレットに対応する」のは正しい方向性だと思います。ブラウザで閲覧できるとはいえ、アプリの方が便利ですし。ただ、そもそも雑誌との接触機会が少なくなっている若者に、雑誌記事の魅力を届けるにはどうすればいいか、という根源的な問題。悩ましいところです。 ◆ 米巨大IT5社、業績に明暗 1~3月期、アマゾン赤字転落〈共同通信(2022年4月29日)〉 https://nordot.app/892547326204182528?c=491375730748638305 ◇ 物流・生産、米巨大ITの足かせに Amazonは営業赤字も〈日本経済新聞(2022年4月29日)〉 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN290BL0Z20C22A4000000/  売上高は5社とも増加しているものの、損益では明暗が分かれています。中でもAmazonは7年ぶりの赤字。いちばん大きいのは保有しているEVメーカー株の評価損のようですが、本業でも原油高騰や人件費増などコストが重く、次の四半期では営業赤字に転落するかもしれないとのこと。ジェフ・ベゾス氏がCEOを退いてから1年、なんだか暗雲が垂れ込めている感があります。 ◆ グーグル、「デリケートな広告」対応強化へ--妊娠や育児、減量など「YouTube」で〈CNET Japan(2022年5月2日)〉 https://japan.cnet.com/article/35187042/  Google AdSenseは「デリケートな広告」をメディア側の任意で除外できる設定を用意していますが、今回のこれは「ユーザー側が」任意で除外できる設定です。「アドブロックを使われるよりマシ」という判断でしょうか。現状、ユーザーが右上の×から「この広告の表示を停止」しても、同じ広告主がちょっとだけ違うクリエイティブを大量に登録していたりするので、ブロックしきれないのですよね。それがジャンル単位でシャットアウトできるとなると、だいぶ景色が変わりそうです。クソ広告、滅ぶべし。 ◆ 偽情報や差別あおるサイトにネット広告、自動表示避けるため「排除リスト」…まとめサイトも : 社会 : ニュース〈読売新聞オンライン(2022年5月6日)〉 https://www.yomiuri.co.jp/national/20220506-OYT1T50072/  国税庁が広告を委託した企業に「信用失墜やブランド毀損となる場所への広告掲載は必ず避けること」という条件を付けるなど、行政機関による対策の動きが出始めているそうです。「漫画村」などの海賊版サイトに正規電子書店の広告が出ちゃってた問題を思い出しました。不適切サイトの「排除リスト」が導入されているそうですが、ブラックリストに載ったら閉鎖→転生のイタチごっこが起きそうな気が。そういう意味で、JICDAQ品質認証事業者=ホワイトリスト方式は効果的かもしれません。ただ、認証登録料が高いんですよねぇ……。 https://www.jicdaq.or.jp/information.html 【技術】 ◆ The Amazon Kindle will support EPUB in late 2022〈Good e-Reader(2022年4月30日)〉 https://goodereader.com/blog/kindle/the-amazon-kindle-will-support-epub-in-late-2022  KindleがついにEPUBをサポート……と思いきや、タイトルに「will」が入っているところがミソ。実際には「Send to Kindle」がEPUBに対応しただけで、EPUBサイドロードに対応したわけではありません。従来でも「Kindle Previewer」を使ってEPUBをMOBIに変換すれば、閲覧することは可能でした。ただ、Kindle Previewerアプリを起動してMOBIに変換してからSend to Kindle、という少し手間のかかる手順が必要だったのです。  EPUBでのSend to Kindleを実際に試してみたところ、AZW3に変換された状態での閲覧が可能であることが確認できました。つまり、Kindle独自ファイルへの変換を自動でやってくれるようになった、と言ったほうがわかりやすいかもしれません。ただ、Kindle Previewerでの変換は古いKindle端末用ファイルを内包した「二段構え(byろす氏)」なのでファイルサイズが倍くらいに肥大化してしまうのですが、Send to Kindleで変換されたAZW3は元のEPUBとファイルサイズがほとんど変わらないことが確認できました。 https://www.itmedia.co.jp/ebook/articles/1211/15/news032.html  2020年8月にコマンドラインのMOBI変換ツール「KindleGen」が廃止され、2021年8月にはKindleダイレクト・パブリッシング(KDP)でMOBIファイルの入稿を受け付けなくなっています。今回も、ヘルプには「2022年後半からは、Send to Kindleを使用してMOBI(.AZW、.MOBI)ファイルをライブラリに送信できなくなります」とあります。つまりこれは、古いKindle端末への対応を完全に打ち切るための措置なのでしょう。 https://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html?nodeId=G5WYD9SAF7PGXRNA  なお、Good e-Readerは「This is likely why they are waiting until Fall or Winter 2022 to add in support for sending EPUBS to the Kindle and for them to be read, instead of covertly converting them from one format to another.(EPUBをある形式から別の形式に密かに変換する代わりに、Kindleに送信して読めるようにするためのサポートを、2022年の秋か冬まで待っているのだと思われます)」と予想(だからwill)していますが、どうだろう。前述のような「二段構え」をやめただけで、EPUBネイティブ対応まではやらないような気がします。仮にAZW3の中身がほぼEPUBだとしても。 よかったらこの記事をSNSでシェアしてください! Twitterでシェア Facebookでシェア 本稿は CC BY-NC-SA 4.0でライセンスされています。転送歓迎。ウェブなどへ転載する際は、HON.jp メールマガジンが出典であることを表記するのと同時に、HON.jp News Blogへのリンクを張っていただけると嬉しいです。 https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/4.0/deed.ja 会員申込みや寄付などについて  NPO法人HON.jpは、本(HON)のつくり手をエンパワーするため、ウェブメディア「HON.jp News Blog」やメールマガジンなどのメディア事業、出版創作イベント「NovelJam」の開催やセミナー・講習会などのイベント事業、出版事業などを行っています。  当法人の事業活動は、みなさまのご支援のおかげで継続できています。いつもありがとうございます。正会員・賛助会員(個人/法人)は随時募集しており、さまざまな特典もご用意しています。また、寄付も受け付けています。さらなるご支援をよろしくお願いいたします。 ■ NPO法人HON.jp正会員のご案内 https://www.aiajp.org/application/regular-member ■ NPO法人HON.jp賛助会員のご案内 https://hon.jp/news/supporter ■ NPO法人HON.jpへの寄付受付窓口(Syncable) https://syncable.biz/associate/honjp/donate/ ■ 読み終えた本で寄付できる「チャリボン」 https://www.charibon.jp/partner/hon-jp/ 広告掲載のご案内  HON.jp News Blogは、これからも本(HON)を作ろうとしている人々に、国内外の事例を紹介し、デジタルパブリッシングを含めた技術を提供し、意見を交換し、仮説を立て、新たな出版へ踏み出す力を与えるメディアです。運営は、NPO法人HON.jp メディア部会が行っています。このメディアへの広告掲載は、随時募集しています。当メルマガへの広告掲載も可能です。詳しくは下記のリンク先をご覧ください。 ■ 広告掲載のご案内 https://hon.jp/news/ad 発行人:NPO法人HON.jp 編集人:HON.jp News Blog編集長 鷹野凌 mail: honjp@aiajp.org https://hon.jp/news/ 配信数:2548通 このメールマガジンは、HON.jp からのお知らせや、HON.jp News Blog 編集長 鷹野凌による「週刊ニュースまとめ&コラム」などを、原則、毎週月曜日の朝に配信しています。配信対象は、HON.jp News Blog から購読を申し込まれた方々と、これまで HON.jp とご縁があった方々です。 配信には Benchmark Email を利用しています。メール内のリンク URL はすべて bmetrack.com のサブドメインに自動変換されています。これは、Benchmark Email のシステムが開封率やクリック率などを計測しているためです。計測後、本来のURLへ自動転送されます。 不要な場合はお手数ですが、末尾の「配信停止」からお手続きください。 フォローして最新情報をチェック! 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