【EPUB有料連載リンク】第30回 -読者が選ぶユーザーズ・チョイス賞−Google Sky Map ジェリー・パーネル/訳・林田陽子「新・混沌の館にて」

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※いつもhon.jp DayWatchをご覧いただきましてまことにありがとうございます。

 いつもご覧いただいております読者の皆さまへの御礼も兼ねまして、昨年9月から週1回程度、IT書籍の翻訳家として有名な林田陽子氏が個人で権利取得・有料配信スタートしました米国ITコラムニスト・ジェリー・パーネル氏の「新・混沌の館にて」を冒頭部分のみ抜粋して掲載しております。

 業界関係者の方は、EPUBを使った個人による新しい電子出版モデルの一例として、研究の参考にしてみてください。—hon.jpシステム部

3月コラムから

読者が選ぶユーザーズ・チョイス賞−Google Sky Map

ユーザーズ・チョイス賞候補です。

Google Sky Map for Android

 これはどんなものよりさくさく動きます。

 私は理論物理学者ですが、大学生を指導するのに観測天文学のリサーチ・プログラムを始めようと決心しました。彼らは、数学と物理理論のどちらに関しても、理論家として生産的であるための知性がまったく足りません。

 私は、教師になってからずっと天文学を教えていますが、研究領域として積極的に取り組んだことはありません。我々は変光星を見ています。これはアトランタの繁華街でやるには適した方法です。なぜなら、星と基準星の明るさの差異を測定したいからです。しかし、基準星が何なのか確認しなければなりません。また、地球の回転軸線に正確に望遠鏡の位置を合わせなければなりません。

 今はそういうことは、私が使用する望遠鏡を含むさまざまなコンピューター装置で簡単にできます。しかし、特定の測定星を見つけることができなければなりません。私は確かに空にある星のことを知っています。しかし、これはアトランタの繁華街では役に立ちません。ここでは晴れた夜の限界写真等級は3かそれ以下です。

 Google Skyは加速度計を読んで、携帯電話の位置を確定して、その方向の空を描画します。しかし、目玉の機能は星の位置を検索できることです。ですから、望遠鏡の位置合わせのために特定の星を見つける必要がある時、私はGoogle Sky Mapでその星を検索します。赤い矢印がポップアップして、どちらを向いて対象を探せばいいか教えてくれます。私がその星を見つけると黄色い円がその対象を囲みます。さらに、太陽系の位置のリアルタイム・データも持っています。

 あなたが今見ている空の星の位置を知りたい時は、これはすばらしい機能です。照明で明るくなった空で一番明るい星を一つか二つ基準にして星座を認識しようとする時は本当に便利です。iPhoneにも同じようなものがあるかもしれませんが、私は知りません。私はSteve Jobs(スティーブ・ジョブズ)に好意を示す気はありませんし、まして金を払う気はさらさらありません。

Paul J. Camp博士
物理学部
Spelman大学
アトランタ、GA

 私は、Google Skyで観察しようとしてみたが、ロサンゼルスは雨が降っていて曇っていたために試すことができなかった。幸い、私は複数の指名を受け取っていて、問題なくGoogle Sky Map for Androidに混沌の館の蘭花賞を贈る。外が雨降りでもこのWebサイトを見てみる価値がある。

【つづきは「新・混沌の館にて」サイトで http://www.sciencereadings.com/

電子書籍で小説を世に出す

 前回紹介した、作家たちによる小説サイトに関するパネルディスカッションのパネリストの一人が、気鋭の文芸評論家の方でした。その方が「文芸作家という職業はもう成り立たない」と繰り返し断言しておられました。

 私は文芸書の出版事情は全く知らなかったのですが、参加していた編集者の方の話やパネルディスカッションを聞いて、非常に厳しい状況なのだと感じました。

 これまでは、出版社が賞を設けて新人を発掘したり、映画とタイアップして大々的な宣伝をしたりといったプロモーションを行って、商品としての作家を数多く生み出してきました。刊行される本の数も今より少なかったかもしれません。これまでの印税率でも、1冊の本が何十回も増刷になって、作家業は十分職業として成り立っていたのだと思います。昭和の時代には、本にそれほど深い関心のない人も、けっこう小説を読んでいたように思います。多くの華やかな流行作家がいた時代でした。

 今はそうではありません。インターネットの登場や、他の娯楽製品が増えたことが原因なのかもしれませんが、最近では新人を発掘しても、受賞作以後継続して本を出すのが難しいということでした。それでも作家たちは出版社から本を出してもらえる日を待ち続けています。

 こういった状況でも、作家志望者は後をたたないようです。自分でサイトを立ち上げて、自分の小説の電子書籍を販売している作家の方もいます。

 本好きの人は、いつも読むものを探しています。

 電子書籍はその作家と読者を結ぶ役割を果たすことができるのではないでしょうか?紙書籍の場合、かなりのコストをかけて、何千部という単位で実体のある本を制作しなければなりません。電子書籍の方がその点のリスクは小さいと思います。

 もちろん、誰が作るにしても、粗製濫造にならないよう、しっかりとした内容の本を作らなければ、商品にはなりません。

 電子書籍は作家業が職業として成り立って行くようにする一つの鍵になるのではないか、ぜひともそうなって欲しい。この日まだ若い新人作家たちを見て強く思いました。n

問合せ先:「新・混沌の館にて」サイト( http://www.sciencereadings.com/

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